バイトに救われた、なんて言うと、大げさに聞こえるかもしれません。
でも私は、本気でそう思っています。
一度は、学生時代に。もう一度は、うつで動けなくなった私が、社会に戻ろうとしたときに。
これは、同じアルバイトに二度すくわれた、ある女性の話です。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:20代女性(体験当時20〜22歳/27〜29歳)
・業界・職種:イベントスタッフ(もぎり・会場案内・誘導・グッズ販売)
・雇用形態:派遣アルバイト
・時給:940〜1050円
・在籍期間:学生時代に約2年+社会復帰後に再就業
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
「働く」が、こわかった大学3年の私
正直に言うと、私はずっと「働く」ことにいいイメージを持てずにいました。
うちは親戚が多くて、子どものころはお年玉だけで一年のお小遣いがまかなえてしまうような家で。大学に入ってからも、祖母がときどき小遣いをくれて、それでなんとかやりくりできていたんです。
だから、働く必要に迫られた経験が、そもそも薄かった。
そこへきて、最初に始めたコンビニのアルバイトが、いわゆるブラックバイトでした。
そのときの記憶のせいで、「働く=こわいもの・つらいもの」というイメージが、私の中に張りついてしまっていました。
親友が、融通の利くバイトを教えてくれた
そんな私に、大学3年のとき、親友が声をかけてくれました。
「シフトの融通きくし、おすすめだよ」って。それが、イベントスタッフのアルバイトでした。
面接では、うるさいくらいにコンビニで仕込まれた「大きな声で挨拶する」が、思いがけず役に立ちました。
即採用。気づけば、直近の野球の試合のスタッフとして、初勤務が決まっていました。
初勤務の前の夜、私は泣いていた
初勤務の前の日。
緊張と、ブラックバイトのトラウマからくる恐怖で、私は眠れずに泣いていました。
それでも、いざ現場に出てしまえば、ふしぎと恐怖は消えていって。
初日の配置が、野球の試合の様子を間近で見られる場所だったんです。それが大きかった。配置は別でしたが、親友も同じ日にシフトに入っていました。
バイトが、トラウマのリハビリになっていった
その後、大学で親友とバイトの話になると、共通の話題ができて、それも嬉しくて。
私にとってこのバイトは、ブラックバイトのトラウマを少しずつほぐすリハビリをしながら、お小遣いも稼げる。まさに、いいことずくめのアルバイトでした。
スタッフ感謝イベントで、3人で食べたごはん
仕事のあとに、スタッフ感謝イベントがある日がありました。
私と親友、それともう一人、同じ大学でこのバイトをしていた友人と、3人でそのイベントに参加して、ごはんを楽しんで。
あの時間が、「このバイトなら続けられるかもしれない」と思えたきっかけでした。
もぎり、案内、誘導──ひとりでも行けるようになった
気づけば私は、親友がいない日でも、平気でバイトに行けるようになっていました。
仕事は、入り口でのもぎりや、会場の中での案内・誘導が中心です。
グッズ販売だけは、ちょっと面倒であまり好きじゃなかったんですけど。それでも、コンビニで鍛えたレジ経験が活きる場面ではあって、なんとかこなせていました。
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卒業して、一度このバイトを離れた
このバイトは、大学を卒業するまで続けました。
辞めたのは、いやになったからではありません。市の就職支援事業に参加する規定で副業が禁止されていて、続けられなくなってしまったんです。
だから、けっこう後ろ髪を引かれる別れでした。
事務職を転々として、うつで休職した
社会人になってからの私は、事務職として2〜3社を渡り歩きました。
でも、うつ病が悪化して、休職することになって。
それから1年半。「そろそろ社会復帰しないと」という段階になっても、仕事が決まらない。焦りばかりが募っていました。
そんなとき、母が見つけてきてくれたんです。私が学生時代に勤めていた、あのイベントスタッフの求人を。
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母と祖母に相談して、もう一度応募した
母と、私のいちばんの相談相手だった祖母と相談して。
ギリギリまで待ってから、その求人に応募しました。
もう一度、面接に行きました。接客業の経験について聞かれたとき、学生時代にここで働いていたことを話すと、相手の食いつきがすごくよくて。その場で採用が決まって、また直近の仕事に出ることになりました。
社会人になって気づいた、接客のいいところ
社会人になってから、このバイトを新しい目で見られるようになりました。
学生のころは「接客って面倒だな」と思っていたんです。
でも、お客さんの笑顔や「ありがとう」を、その場でダイレクトに受け取れる。それは、事務職にはなかったものでした。そして私は、たぶんそれが好きなんだと、このとき初めて気づきました。
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学生時代も、社会復帰も支えてくれたバイト
今、このアルバイトは仕事の数がぐっと減ってしまいました。
私自身も、いろいろあって一人暮らしを始めたところです。
でも、このバイトを続けていたおかげで、賃貸の契約はスムーズに進んだし、新しいアルバイトも比較的早く決まりました。
学生時代だけじゃない。社会に戻るときの私を、もう一度支えてくれた。
私にとっては、そういうアルバイトなんです。
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働くことが、こわくなってしまったあなたへ
「働く」という言葉に、つらい記憶や恐怖がこびりついてしまうことは、決して珍しくありません。
この方の場合は、人と接して「ありがとう」を直接受け取れる仕事が、事務職で少しずつ削られていた感覚を、もう一度埋め直していきました。
合う働き方は人それぞれですが、もし一歩を踏み出すのがこわいなら、無理に大きく動こうとせず、戻りやすい場所から始めるという選択肢もあります。
困った時の選択肢
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
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公的な窓口としては、よりそいホットライン(0120-279-338)が、24時間・無料で相談に乗ってくれます。ひとりで抱えこむ前に、声を聞いてもらうだけでも構いません。
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もぎりも誘導も、一日じゅう立って歩き回る仕事でした。脚がぱんぱんになって帰る日に、立ち仕事用の着圧ソックスにはずいぶん助けられました。

