PR

セールスエンジニアがきつい理由|40代・年収700万でも板挟みとトラブル対応に追われた話

IT・エンジニア系の体験談アイキャッチ IT・エンジニア系
この記事は約15分で読めます。

「この案件、いつ決まるんだ?」

月曜の朝礼で、そう聞かれるたびに胃のあたりが重くなりました。

私は40代の頃、電機メーカー系の企業で法人営業のセールスエンジニアをしていました。デジタルサイネージや業務用ディスプレイ、ネットワーク機器を、企業や商業施設に提案する仕事です。

ただ、売って終わりではありません。現場確認、仕様の打ち合わせ、設計担当との調整、導入後のフォローまで、全部が自分の担当でした。

これは、営業と技術の間で20年、板挟みになり続けた男の話です。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:40代男性(体験当時)

業界・職種:電機メーカー系企業/法人営業のセールスエンジニア

雇用形態:正社員(現在は再雇用)

企業規模:大企業(従業員1000人以上)

在籍期間:20年以上

退職状況:現職継続中(再雇用)

体験形態:実体験ベース

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

お客様から見れば、営業も技術も「窓口」だった

会社は全国展開している大手で、営業所だけでもかなりの人数がいました。

ただ、看板が大きいのと現場が回っているのは別の話で、実際はいつも人手不足でした。

だから営業も、かなり幅広い仕事をやることになります。

お客様から見れば、営業も技術担当も関係ありません。全部まとめて「窓口」みたいな扱いです。

「これ、どうなってますか」と聞かれれば、営業のことでも技術のことでも、まず自分が受ける。自然と、対応範囲がどんどん広がっていくんです。

セールスエンジニアという肩書きは、聞こえはいいかもしれません。でも実態は、営業と技術のどちらも中途半端には逃げられない、という立場でした。

月曜の朝礼が、いちばん重かった

朝はだいたい7時前に起きて、8時前には会社に着いていました。

まずメールを確認して、そのあと朝礼です。

月曜の朝礼は、特に重かったですね。

売上数字の進捗確認があるので、フロア全体の空気が張り詰めるんです。まだ一件も動いていない週の頭に、先週の遅れと今月の残りを突きつけられる。あの時間だけは、何年やっても慣れませんでした。

数字が足りない月の、静かな営業所

上司からは、よく言われました。

「この案件、いつ決まるんだ?」
「今月、かなり厳しいぞ」

数字が足りない月は、営業所全体が静かになるんです。

雑談も減って、みんなパソコンの画面を見ながら、必死に案件管理表を更新している。誰かの電話の声だけがやけに大きく聞こえる。

あの静けさは、怒鳴られるよりこたえました。

午前は提案書、午後は客先、夜は社内資料

1日のスケジュールは、かなり不規則でした。

午前中は、見積もりや提案書の作成。午後はお客様のところへ訪問。夕方以降は会社に戻って、メール返信や社内資料の作成。

だいたいこの流れが多かったです。

ただ、これはあくまで「うまくいった日」の話で、途中に急な呼び出しや、トラブルの一本が入るだけで、全部が後ろにずれていきました。

真夏のスーツと、冬の早朝現場

外回りの日は、本当に体力勝負でした。

真夏に、スーツ姿のまま工場を歩き回ることもありましたし、冬は早朝から現場立ち会いで、指がかじかむほど凍えることもありました。

現場確認では、ヘルメットをかぶってバックヤードや機械室に入るのも普通です。

スーツを着た営業のイメージと、汗だくで配線を見て回る自分と。どっちも同じ日の自分でした。

見積のバージョンが、10回を超えたモールの案件

特に印象に残っているのは、地方の大型ショッピングモールに、デジタルサイネージを導入した案件です。

館内案内や広告表示用に、複数台の大型ディスプレイを設置する計画でした。

競合もかなり強くて、名前の通ったメーカーも入っていました。だから、提案資料の作り込みは相当なものでした。

お客様から細かい質問が何度も来る。そのたびに設計担当へ確認して、修正する。それを繰り返しているうちに、気付けば見積もりのバージョンが10回以上変わっていました。

一つの案件で、ここまで作り直したのかと、あとで自分でも呆れたくらいです。

照明が半分落ちた、閉店後のショッピングモール

ある日は、閉店後のショッピングモールで現場確認をしていました。

営業が終わったあとなので、館内の照明が半分くらい落ちていて、昼間とはまるで別世界でした。

自分の足音がやけに響く、がらんとした通路。

工事担当の人と脚立を持ちながら、設置位置や配線のルートを確認していく。昼間はお客さんでにぎわっていた場所に、作業着の人間が数人だけ。妙に静かで、時間の感覚がなくなっていくんです。

夜10時から始まる、資料の修正

その現場確認を終えて、夜10時を過ぎてから会社へ戻りました。

戻ったら、そのまま提案資料の修正です。

隣で作業していた後輩が、ぼそっと言いました。

「もう今日は、帰って寝るだけですね」

みんな苦笑いです。笑うしかない、というやつでした。

残業60〜70時間、休日でも鳴る電話

その時期の残業は、月に60〜70時間くらいありました。

繁忙期は、土曜日も普通に出社していましたし、休みの日でも、お客様から電話が来ることがありました。

一度気になると、頭のどこかがずっと仕事につながったままになる。

家にいても、本当の意味では休めていなかったと思います。

トラブルと数字が、同時に来る

一番きつかったのは、トラブル対応と数字のプレッシャーが、同時に来る時です。

ある案件で、工事当日にネットワーク設定の不具合が出たことがありました。

現場からは、「映像が出ません」と電話。お客様は当然焦っていますし、こちらも原因がすぐには分からない。設計担当へ電話しながら、現場で機器を一つずつ確認していく。

その最中にも、上司からは連絡が入るんです。

「来月の案件、どうなってる?」

目の前のトラブルと、来月の数字。まったく別の重さのものが、同じタイミングで乗ってくる。正直、頭の中がパンクしそうでした。

お客様先でトラブル対応をしている時、ふと鏡に映った自分の顔を見たら、思っていた以上に疲れた表情をしていて、自分でも驚きました。

関連記事:カスタマエンジニア40年で限界|3日連続徹夜と上司の『サボってばかり』の地獄

帰りの電車で、ただ座っていた

そういう日の帰りの電車では、ぼーっと窓の外を見ていることが多かったです。

スマホを見る気力もなくて、ただ座っているだけ。

家に帰っても、メールの通知が気になって、夜中に確認してしまうこともありました。

切り替えが下手だったんだと思います。でも、あの立場で完全に仕事を忘れるというのは、私にはできませんでした。

年収700万でも、板挟みは楽じゃなかった

年収は、40代で700万円前後でした。

数字だけ見れば、悪くないと思われるかもしれません。

ただ、労働時間や精神的な負担を考えると、決して楽ではなかったです。

特にセールスエンジニアは、お客様・営業・設計・工事担当の間に立ちます。

それぞれが違う都合と言い分を持っていて、そのどれもが「こっちの事情も分かってくれ」と言ってくる。板挟みになる場面が、本当に多い仕事でした。

関連記事:営業兼エンジニアを5年で退職|「女を売りにしろ」と言われ建設業界の客に潰れた話

「佐藤さんが動いてくれたから」と言われた日

ただ、悪いことばかりではありませんでした。

例のモールの大型案件が無事に終わったあと、お客様から言われたことがあります。

「佐藤さんが最後まで動いてくれたから、安心できました」

その言葉は、今でも覚えています。

セールスエンジニアの仕事は、ただ商品を売るだけじゃない。信頼を一つずつ積み重ねていく仕事なんだと、その時に思いました。

しんどかった案件ほど、終わったあとにこういう一言をもらえると、報われた気持ちになるんです。

工場も、学校も、病院も見てきた

いろいろな業界の現場を見られたのは、この仕事の面白いところでした。

工場、学校、病院、商業施設。本当にさまざまな場所へ行きました。

同じ案件は一つもありません。行くたびに違う建物、違う担当者、違う課題がある。

大変ではありましたが、こんなにいろんな現場の裏側を見られる仕事は、そう多くないと思います。

「気合で乗り切れ」が普通だった頃

一方で、かなり古い体質も残っていました。

上司によっては、「気合で乗り切れ」という考え方の人もいました。

若い頃は、それが当たり前だと思っていました。

でも、40代になると、体力的にも精神的にも、その乗り切り方はきつくなってきます。根性で埋められない部分が、はっきり出てくるんです。

再雇用で、若手を支える側になった

今は、再雇用で働いています。

以前ほど数字への責任は減りましたが、その分、若手のサポートや引き継ぎをすることが増えました。

自分が板挟みでもがいてきた経験が、後ろから若手を見るときには少しだけ役に立っている気がします。

副業で始めた、Webライティング

最近は、副業でWebライティングもしています。

最初はうまく書けませんでした。でも、営業の経験は、意外と文章にも役立っています。

相手が何を知りたいかを考えながら説明する。この感覚は、営業もライティングも、けっこう似ているんです。

これから、この仕事を目指す人へ

これからIT業界やセールスエンジニアを目指す人には、技術力だけでなく、人とのコミュニケーション力を大切にしてほしいです。

結局、お客様が最後に選ぶのは、安心して任せられる人かどうかだと思います。

それと、無理をしすぎないこと。

責任感が強い人ほど、抱え込みやすい仕事です。私も若い頃は、全部を一人で何とかしようとしていました。でも、それを続けると、本当に心が疲れてしまいます。

ブラックな部分も、達成感もあった

ブラックな部分は、確かにありました。

残業、休日対応、急なトラブル、数字のプレッシャー。

ただ、その分だけ達成感もあったのも事実です。苦労した案件ほど、終わった時の安心感は大きかった。

20年以上続けてきたことで、技術の知識だけでなく、人との向き合い方や責任感が身についたと思っています。

今振り返ると、大変な仕事でした。でも、自分を成長させてくれた仕事でもあったと、素直にそう思えます。

関連記事:客先常駐SE20年・現役40代|月350時間と「会議室で寝るしかない」物流移行の地獄

営業と技術の板挟みで、すり減っていると感じているあなたへ

セールスエンジニアがきついのは、能力の問題ではありません。

お客様・営業・設計・工事という、立場の違う人たちのちょうど真ん中に、一人で立たされる「構え」そのものにあると感じます。

目の前のトラブルと来月の数字が同じ日に乗ってくる働き方は、責任感が強い人ほど、一人で抱え込んでしまいます。

40代になって「気合」では埋められない部分が出てきたと感じるなら、それは弱さではなく、一度立ち止まって自分の20年を棚卸ししてみるサインなのかもしれません。

困った時の選択肢

板挟みの消耗を、そろそろ手放したい方へ

営業と技術、両方の言い分がわかってしまう立場だからこそ、板挟みは一人で抱え込みがちです。IT・営業でのキャリアを積んできた方なら、その経験を正当に評価してくれる転職エージェントに一度話を聞いてもらうだけでも、今の環境が「普通」なのかを測る物差しになります。首都圏でのIT・営業・ハイクラス転職に強く、相談は無料です。

type転職エージェントで無料相談する

そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。

・営業としての自分の市場価値を、若いうちに知っておきたい方は(※25〜35歳・営業経験者向け)

 → 営業経験を活かす市場価値診断・キャリア相談【NewMA】

・辞めたい気持ちはあるのに、責任感でどうしても自分から切り出せない方は

 → 弁護士法人が運営する退職代行【ガイア】(性別不問)

・心身が限界に近いと感じる方は、抱え込む前に、自分の気持ちを整理するセルフケアから

 → 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)

公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。

働き方や仕事との距離の取り方を、少し引いた場所から考えたいとき、気になった一冊をまず無料で試す方法もあります。

・読んでみる → Kindle Unlimited(30日間無料体験)

・聴いてみる → Audible(30日間無料体験)

外回りで社用車に乗る時間が長く、会社に戻れば夜遅くまで椅子に座りっぱなし。腰への負担を少しでも逃がすために、車のシートにもオフィスチェアにも使えるランバーサポート(腰当てクッション)を使っている人もいます。

タイトルとURLをコピーしました