「え、社保も国保も、両方入ってるんですか……?」
窓口に保険証を二枚並べられて、頭の中が真っ白になった。
📌 体験者プロフィール
職種:医療事務(受付・レセプト業務)
スタート時の状況:未経験・無資格
その他:勤務を続ける中で登録販売者の資格を取得
未経験・無資格でも、医療事務は本当になんとかなるのか
医療事務は未経験でも資格がなくてもなんとかなる、とは聞いていた。でも実際に働き始めてみると、テキストには載っていないことばかりが目の前で起きる。これは、そんな状態から医療事務の世界に飛び込んだ私の話です。
医療事務の現場は、私のように知識ゼロの状態から飛び込んでくる人がとても多い、というのが最初に感じたことでした。
というのも、皮膚科と精神科では事務処理の中身がまるで違います。医療機関ごとにレセプトコンピュータの種類も違うので、「前の職場で経験があるから即戦力」という現場ではないことが多いんです。
そもそも医療事務の資格自体、民間のものです。取らなくても医療事務として働くことはできます。
勉強した量に対して、実際に現場で使う知識は10分の1以下でした。分厚い医療事務のテキストよりも、薬価の点数表や医療報酬の本を開くほうが、よっぽど仕事の役に立ちます。
とはいえ、経験や資格がまったくの無意味というわけでもありません。どの科を標榜していても変わらないものもあるからです。
たとえば保険制度の仕組み。普段の生活ではあまり意識しない分野なので、この仕事について初めて知ることも多いです。実際、患者さんの中には保険制度をよく理解していなくて、社保も国保も両方加入したままになっている人がいました。窓口であの保険証二枚を見せられたときの困惑は、たぶん一生忘れません。
あとは、パソコンそのものの扱いに慣れているかどうか。今の時代、たいていの病院はレセプトコンピュータを使っています。前の職場でもパソコンを使っていたなら、それは立派なアピールポイントになると思います。
窓口で心が折れない人が、この仕事に向いている
病院に来る人って、そもそもどんな人でしょうか。
具合が悪い人が多いですよね。定期通院で意外と元気な人もいますが、みなさん何かしら不調を感じてやってきます。
つまり、患者さんは来院した時点で、すでに機嫌が悪いことが多いんです。時々、理不尽に怒鳴られることもあります。
医療事務は「事務」という立場のせいか、若い女性の割合が多いせいか、あるいは最初の窓口だからか、医師や看護師よりも暴言を吐かれやすい立場だと感じています。
そういうとき、誠実に対応するのはもちろん大切です。でも、そのあとの自分のメンタルの持ちようのほうが、実は重要だったりします。
私が知る限り、医療事務を長く続けている人は「さっぱりしている人」が多いです。理不尽な扱いを受けても、「まあ、そんな日もあるよね」で、次の会計のときには普段どおりに戻っている。
気持ちの切り替えが上手な人が、非常に多い職場だと思いました。
収入と待遇のリアル、初任給20万円超えは美容外科くらい
医療業界であっても、医療事務そのものの収入は低めです。企業でいえば一般職にあたるので、ある意味では仕方のないことかもしれません。
初任給で額面20万円以上を提示しているところは、私が見た中では美容外科などくらいでした。地方でも都会でも、そこまで大きくは変わりません。そのせいか、実家暮らしの女性が多かったです。
福利厚生は病院やクリニックによって差が大きいので、きちんと調べたほうがいいと思います。医師国保の場合もあれば、社保に加入できる場合もあります。小さなクリニックだと、雇用保険には入っていても厚生年金には入っていない、ということも珍しくありません。
そうなると、低めの給料からさらに国民年金を自分で納めることになります。実質の手取りはもっと下がる、ということは意識しておいたほうがいいと思います。
職場は女性だらけ、でも仲間意識のほうが強かった
医療事務として働く人は、圧倒的に女性が多いです。管理職だけ男性で、あとは全員女性、なんてこともザラにあります。
なので、基本的には女性ばかりの中で人間関係を築いていくことになります。
女性だらけと聞くと、いじめとか派閥とか、そういうものを心配されるかもしれません。でも実際は、共通の敵(理不尽な患者さんだったり、忙しさだったり)が多いぶん、仲間意識のほうが強くなる印象でした。
さっぱりした性格の人のほうが長く勤めているので、そういう意味でもわりと付き合いやすい人が多かったです。
なぜかはわかりませんが、学生時代にヤンチャしていたタイプの人も結構います。そういう人のほうが、案外融通が利いて優しいことも多かったです。
連携する場面はあっても、基本的にはパソコンに向かっての作業が中心なので、そこまで人間関係で悩むことはありませんでした。
関連記事:小さなクリニックの医療事務を2年で辞めた|残業代なし・お局のマウント・薄給に耐えた話
身についた知識は、次のキャリアにもちゃんと活きる
医療事務として働いていた人は、次の転職先でもまた医療事務を選ぶことが多いです。若いうちは未経験・無資格でも雇われやすいですが、年齢を重ねると経験者のほうが優先されやすくなる、というのが正直な印象です。
同じ科の求人は数が少ないので、別の科に移ることもある程度は覚悟しておいたほうがいいと思います。
別の職に就く場合でも、調剤薬局事務や登録販売者、医療補助など、何かしら医療に関わったままの人が多いとも感じました。医療事務として働くうちに薬の知識に詳しくなり、社会保障制度にも詳しくなります。そうして身についた知識を活かせる仕事を選ぶ人が多いのかもしれません。実際、私自身も登録販売者の資格を取ることができました。
そもそも業界の空気をわかっているという安心感も、大きいのだと思います。
医療事務は受付の仕事でもあるので、受付関連の職に転職した人もいました。電話対応や医師との連携といったスキルを考えると、医療事務での経験は受付の仕事でもちゃんと活きると思います。
未経験・無資格から始めた私が言うのもなんですが、飛び込んでみれば案外なんとかなるものです。ただし、「なんとかなる」の中身が何なのかは、この記事で正直に書いたつもりです。
関連記事:子どもの看病で休むたび責められた医療事務を辞めた|転職して人間関係が全てだと気づいた話
これから医療事務を目指す人へ
医療事務は、資格や経験がなくても始められる間口の広さと、収入や待遇の厳しさが同居する仕事です。窓口に立つ以上、理不尽な言葉を受け止める場面は避けられません。それでも気持ちを切り替えられる人には、女性同士の仲間意識と、次のキャリアにもつながる知識がちゃんと残ります。
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※面談予約後の無断キャンセルはお控えください。事前連絡なくキャンセルされた場合、以後のご利用が難しくなることがあります。
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