派遣会社から渡された契約書には、「手取り20万円」と書かれていました。
実際の振込はいつも18万円前後でした。
Amazon倉庫の派遣社員として6ヶ月間勤務した話です。寮付きで月20万のはずが実際は18万、12時間の夜勤労働、5社以上ある派遣会社、入社初日に発覚した申請ミス、同僚の保険証が届くまで1ヶ月——派遣会社経由でAmazon倉庫に飛び込んだ6ヶ月の実態をお伝えします。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:当時20〜30代頃・男性
・職種:Amazon倉庫(FC相当)派遣スタッフ
・雇用形態:派遣社員(契約社員)・寮付き
・期間:6ヶ月
・時給:1000〜1500円(寮の有無・能力で変動制)
・労働時間:20時〜翌8時(12時間夜勤)
・現在:退職済み
寮付き派遣を選んだ理由——「外資系大手で稼げる」
応募を決めた動機は、いくつか重なっていました。
まず、寮付きだったこと。寮費は無料で、住む場所の心配なくスタートできる。これは大きい。次に、外資系の大手であるAmazonで一度働いてみたかったこと。Amazonはよく利用していましたし、サービスとして信頼していたので、内側の現場がどんな感じか興味がありました。
そして、給与面。時給1000円以上で、月間20万円ほど手取りで稼げる、と聞いていました。寮費がかからない分、貯金もできる計算でした。
このときの判断材料には、当時のネット上の口コミも含まれていました。「Amazon倉庫は外資系で稼げる」「寮付きでお金を貯められる」というポジティブな情報がそれなりにあったんです。
実際に飛び込んでみるまでは、自分もそれを信じていました。
関連記事:Amazon倉庫の夜勤バイト半年|時給1250円・メリットとデメリットの本音
ハンディターミナルとASIN——集荷作業の実態
担当することになったのは、集荷作業でした。注文された商品を倉庫の中で探し出して、専用のカートに積み込み、ベルトコンベヤーへ流す——というのが基本の流れです。
各担当者には「ハンディターミナル」と呼ばれる端末が割り当てられます。注文情報が継続的にこの端末に受信されてきて、そこに表示された商品を倉庫内で探していく。
商品は「ASIN」と呼ばれるAmazon独自のバーコードのような識別マークと数字で管理されています。商品のジャンルごとにフロアが分かれていて、本のフロア、雑貨のフロア、大型商品のフロア、というふうに保管場所が決まっています。
ハンディターミナルには集荷の制限時間も一緒に表示されます。これがノルマです。時間内に集荷を終わらせないと、後で上司の指導が入る——という仕組みになっていました。
5階建ての巨大倉庫——野球場4〜5階分の感覚
働く前にイメージしていた「倉庫」と、実際の現場のスケール感はぜんぜん違いました。
巨大なホームセンターの4〜5階建てを想像してもらうと、ちょうど近いと思います。大型ホームセンターって、たいてい1フロアじゃないですか。それが5階分くらい縦に積み重なっているデパートのような建物でした。
そして、その中を集荷指示が出るたびにダッシュで移動する。
倉庫内が広すぎて、フロア間の移動だけで時間が削られていく感覚はありました。一日中歩き続けて、足の裏と腰にじわじわダメージが蓄積していきます。
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12時間労働(20時〜翌8時)の地獄
私の労働時間は20時〜翌8時の12時間でした。
契約の内容によって労働時間は変わります。パートやアルバイトのスタッフはもっと短いシフト制で働いていましたが、私の場合は派遣の契約社員として12時間夜勤で入っていました。
これがとにかくきつかった。
ちゃんと心の準備をして入ったつもりだったのですが、10時間目を超えたあたりから決まって眠気がやってきます。深夜帯の人間の身体はそういうふうにできていない。
「12時間も働くと、最後はすべてが嫌になる」というのが、半年やってみてのリアルな感想です。長すぎる。本当に長い。
足の裏は毎日痛い。腰もだんだん怪しくなってくる。深夜2時、3時、4時——時計が進んでいく感覚と、身体が削られていく感覚が完全に一致していました。
ノルマ達成率は毎日公開——精神的負担の指導
ノルマが達成できないと、上司である教育担当に呼び出されます。
呼ばれて指導が入る。パワハラ的な怒鳴り方ではなかったので、その点は救いでした。ただ、達成率は毎日公開されて、現場全体で共有されます。「○○さんは△△%」みたいに見えるんです。
これが地味に効きました。
肉体的にも限界に近づいているのに、数字で「あなたは遅い」と毎日表示される。指導の言葉そのものは穏やかでも、精神的にはじわじわ削られていきました。
ノルマ未達成でクビになることはありませんでした。ただ、心の余裕は確実に減っていったと思います。
派遣会社5社の中で——入社手続きミスから始まる事故の数々
Amazon倉庫の中には、私の知る限り5社以上の派遣会社からスタッフが来ていました。私が所属していたのは、Amazon倉庫内に出張オフィスを置いている比較的大手の派遣会社でした。
その「比較的大手」の派遣会社で、いきなり初日からトラブルが起きました。
入社初日に出勤したら、入社の手続きがされていなかったんです。
Amazonへの申請をしないと現場で働き始められないのですが、派遣会社がその申請をしていなかった。結果、入社日が1週間ずれました。
これだけでも結構なミスなんですが、これは始まりでした。
同じ派遣会社で働き始めた私の一番仲の良かった同僚は、保険証の手続きと発行に1ヶ月以上かかりました。私自身は1週間くらいで保険証が届いたのですが、彼の場合は1ヶ月超。同じ会社・同じ時期に申し込んでこの差です。
そして契約金額。
冒頭でも書きましたが、契約書の「手取り20万円前後」が、実際の振込はいつも18万円前後でした。月によって数千円〜2万円ほど少ない。気づくまでに時間がかかりましたし、気づいてから問い合わせても明確な説明は得られませんでした。
派遣会社の対応がいい加減なとき、現場の派遣スタッフにはどうすることもできません。
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寮の担当者だけは別格だった
派遣会社の対応はいい加減でしたが、寮の担当者だけは別格でした。
寮の担当をしてくれていたのは、年配のおじいさんでした。とても優しくて、入居のときも退去のときも、丁寧にいろいろな相談に乗ってくれました。
入居の手続きでもトラブルはなく、退去のときの金銭的な精算もすべてスムーズ。寮費の追加請求や敷金関係のいざこざもありませんでした。
「派遣会社の中にも、ちゃんと仕事をする人はいるんだな」と思わせてくれた、唯一の救いだった気がします。あのおじいさんの対応がなければ、半年すらもたなかったかもしれません。
アマゾン社員と一度も関わらない——派遣会社の対応がすべて
働いていた6ヶ月の間、私はAmazonの正社員と一度も関わることがありませんでした。
連絡も、相談も、指導も、給与のやりとりも、すべて派遣会社経由。Amazonという「外資系大手」で働いているはずなのに、Amazonの中の人とは一切話さない。
これは事前にあまり想像していなかった部分でした。
つまり、私にとっての労働環境は、「Amazon倉庫の物理空間」と「派遣会社の対応」の2層に分かれていたわけです。そして、その上下関係のような立場は完全に派遣会社が握っている。派遣会社の対応の質が、そのまま私の労働環境の質になっていた。
同僚や他のスタッフとは、比較的和気あいあいと話していました。男女の比率もそれほど偏らず、年齢も10代から50代まで幅広く、普通にコミュニケーションが取れる雰囲気があったのは唯一の救いでした。
6ヶ月で見えた、12時間労働の限界と次の選択
結局、私は6ヶ月でAmazon倉庫を離れました。
決定打は、やはり12時間労働への適応がどうしても無理だったことです。短時間の契約だったら、もう少し違った景色だったかもしれません。
もし次にAmazon倉庫で働く機会があるなら、間違いなく短時間の契約を選びます。8時間以下、できれば6時間程度。それなら、現場の単純作業の気楽さや、外資系の身なり自由な雰囲気、寮付きで貯金がしやすい仕組みを、もっとポジティブに享受できる気がします。
12時間労働は、絶対にしたくない。
派遣会社選びも、もっと慎重にやるべきでした。Amazon倉庫の中で5社以上ある派遣会社のどれを選ぶかで、入社手続きから保険証発行、契約金額まで、ぜんぶ変わってきます。「Amazon倉庫で働く」ではなく「どの派遣会社経由でAmazon倉庫に入るか」が本当の選択ポイントだと、半年やってみてようやくわかりました。
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編集部より
この体験談の鋭さは、告発の的を正確に絞っている点にあります。6ヶ月働いて、Amazonの正社員とは一度も話さなかった——連絡も指導も給与も、すべて間に入る派遣会社経由。つまり「Amazon倉庫で働く」という看板の下で、実際の待遇を握っていたのは派遣会社でした。契約書の手取り20万が振込では18万になる、入社手続きがされず初日が1週間ずれる、同僚の保険証は1ヶ月以上届かない——これらはAmazonの問題というより、間に挟まる派遣会社の運営精度の問題です。だからこそ書き手は「Amazon倉庫で働くか」ではなく「どの派遣会社経由で入るか」が本当の選択だと言い切ります。看板の大きさと、自分の待遇の良し悪しは、別の話なのです。
契約書と振込額が違う、社会保険の手続きが遅れる——これらは「派遣だから仕方ない」で流していい話ではありません。事務手続きの精度は、その派遣会社が働き手をどう扱うかの表れです。倉庫そのものの評判だけでなく、間に入る派遣会社の事務系の口コミまで確認しておくことが、後悔を減らします。
困った時の選択肢
【「どの派遣会社経由で入るか」で迷っている方へ】
この体験者が痛感したように、同じ倉庫でも「どの派遣会社経由か」で待遇も手続きの精度もまるで変わります。今の派遣先が合わない、もっと条件の良い軽作業・倉庫・派遣を探したいという学生・フリーター・派遣の方は、複数の求人を見比べてから決めるのが安全です。
▼派遣・バイトではなく、正社員の足場をつくりたい方へ
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