運送業4年で限界|朝5時から深夜0時の拘束、居眠り運転のリスクで転職した話

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私はトラック運転手として、運送業の会社で4年間働いていました。

若い頃に大型運転免許を取得していたこともあり、トラックならだいたいの車両を運転できる。それに加えて、私はもともと人間関係があまり得意ではなかったので、「一人で運転して物を運ぶ」という運送業の働き方は、自分に合っていると思っていました。

実際、人間関係のストレスはほとんどありませんでした。

でも、4年で限界が来て退職しました。理由はシンプルです。労働時間があまりにも長すぎたから。

朝5時出勤、夜は早くて22時、ひどい時には明け方まで。睡眠時間は3〜4時間。居眠り運転で大事故を起こすリスクを毎日抱えながら走り続ける日々でした。

これから書くのは、そんな運送業の現役4年で経験したリアルです。トラック運転手を目指している人、現役で疲弊しているドライバー、運送業への転職を検討している人に、何かのヒントになれば嬉しいです。

30人規模の運送会社、その実態

私が勤めていたのは、従業員30人ほどの中小規模の運送会社でした。

中小規模の運送会社というのは、自社の独自顧客を抱えていることもありますが、大手運送業の下請け案件単発の引っ越しなどをこなして食いつないでいるケースが多いです。

私の会社もそうでした。大手の下請けで「いいように使われている」という印象が強い職場。利益率が低く、その分ドライバーへの負担にしわ寄せが来る構造でした。

その勤務実態は、本当に過酷でした。

朝5時のタイムカード、その日の始まり

運送業の朝は早いです。

正確には、運送業界全体が「24時間誰かは動いている」状態。深夜配送のドライバーが帰ってくる頃に、別のドライバーが出勤してくる。会社の電気は基本的に消えません。

私が担当していたメインの仕事は、朝5時にタイムカードを押すところから始まりました。

朝6時に車の輸入部品を取りに行き、外車の正規メーカーへ届けるという配送業務。これが毎日の固定ルートでした。

朝5時に出勤するということは、起床は4時15分です。家を出る前にシャワーを浴びて、簡単に朝食を済ませる時間を考えると、それが限界の起床時間でした。

毎日、目覚ましを4時に複数セットして寝る生活。寝坊が許されないプレッシャーが、日々精神を削っていきました。

夜明け前の運転、美しさと孤独

朝の運転には、不思議な魅力もありました。

道路が空いていて運転がスムーズ。朝日が昇る前後の景色が美しい。誰もいない高速道路を独り占めしているような感覚。

これは運送業の隠れた魅力かもしれません。

でも同時に、それは孤独でもありました。

夜明け前に体を起こして、半分眠ったままトラックを運転する。徐々に明るくなっていく空を見ながら、自分の人生について考える時間がありすぎる仕事でした。

「自分はこの仕事をいつまで続けるんだろう」 「他の人たちはまだ寝ている時間に、自分は何をしているんだろう」

そういう思考が頭をよぎる朝が、年々増えていきました。

日中は意外と余裕、昼寝も可能

日中の時間帯は、意外と余裕がある仕事でした。

主な業務:

・決まったルート配送

・フォークリフトを使った積み込み

・ターミナルへの輸送

・時々入る単発の引っ越し案件

ある程度業務が決まっているので、効率的にこなせれば1時間ほど昼寝できる時間を作ることもできました。

これは運送業の隠れたメリットです。オフィスワークだと「昼休み45分」みたいに決まっていますが、トラック運転手は移動中の休憩時間を含めれば、もう少し柔軟に休める瞬間があります。

ただ、この日中の余裕は、夕方からの地獄の伏線でしかありませんでした。

夕方17時、本当の戦いが始まる

夕方17時を過ぎると、もう一つの大きな仕事が始まります。

スピード配送をうたう業者からの仕事でした。

今日中にお届け」を売りにしている業者の下請けで、夕方から発注された荷物を、その日のうちにターミナルへ運ぶ業務です。

夕方17時くらいから、荷物が次々と入ってきます。締め時間は夜21時。ここまでに集まった荷物を、すべてその日のうちにターミナルへ運び切らないといけないのです。

問題は、荷物の量が日によって全然違うこと。

普通の日:21時には積み込みが終わり、ターミナル配送が深夜2時頃まで

祝日や前日:荷物が爆発的に増えて、夜0時を過ぎても積み込みが終わらない

そして配送が終わるのは、明け方近くになることも珍しくありませんでした。

朝5時起床、その朝もいつも通り出勤

ここが地獄のポイントです。

明け方まで配送して、家に帰り着くのが午前4時前後。それから1時間ほど横になって、また朝5時に出勤する。

睡眠時間は実質ゼロに近い日もありました。

「今日は昨日明け方まで仕事だったから休む」という選択肢はありません。朝5時の輸入部品配送は固定ルートなので、誰かが必ず行かないといけない。人手不足なので、代わりがいないのです。

ほぼ寝ずに、ボロボロの体で、また4トントラックのハンドルを握る。

これが、運送業の現実でした。

夜勤と立ち仕事で体への負担を感じた他の体験談は、こちらの記事もあります。

Amazon倉庫の夜勤バイト半年|時給1250円・メリットとデメリットの本音

居眠り運転というリアルな恐怖

ここまで体が消耗すると、当然ながら居眠り運転のリスクが現実的なものになります。

私が一番怖かったのは、昼休みの仮眠中の出来事でした。

仮眠を数十分しているつもりが、ハッと飛び起きる瞬間があります。「あれ、今寝てた?運転中じゃなかった?」

運転中の居眠りと勘違いして、ハッと飛び起きる

これが何度もありました。それくらい、運転と仮眠の境界が曖昧になるくらい疲れていたのです。

「このまま続けていたら、本当に大事故を起こす」

毎日のように、その懸念を抱きながら走っていました。

私の場合は仮眠中の錯覚で済みましたが、実際に長時間労働の末に居眠り運転事故を起こしてしまった医療機器ディーラーの方の体験談もあります。同じ「業界の構造的な長時間労働」が原因という点で、他人事には思えませんでした。

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一方で、人間関係のストレスはほぼゼロ

運送業の唯一の救いが、人間関係のストレスがほぼなかったことです。

会社の中に嫌味な人、付き合いにくい人がまったくいないわけではありません。でも、運送業は基本的に一人で運転している時間が大半です。同僚と顔を合わせるのは、朝と夜の積み込み作業くらい。

しかも、私の会社は皆が違う時間帯で動いていました:

・早朝担当のドライバー:朝5時から

・日中担当のドライバー:朝7時から

・夕方からの担当:午後3時から

・深夜担当のドライバー:夜10時から

朝、出勤しても誰もいないことがほとんど。夜、戻ってきても他のドライバーは出払っていて誰もいない。

オフィスでよくある「朝の挨拶めんどくさい」「上司の機嫌伺い」「同僚との人間関係」みたいな煩わしさが、この仕事にはほぼ皆無でした。

これは私のように人間関係が苦手な人間にとって、間違いなく良い面でした。

ただし、休みはほぼなかった

人間関係はラクでも、別の問題がありました。

上司からは休みをほとんどもらえなかったのです。

「人手不足だから」 「お前のルートを代わりにできるドライバーがいないから」 「来週は忙しいから休めない」

こうやって、なし崩し的に休みが消されていく。プライベートの時間がほぼ持てない生活でした。

転職を決意した3つのきっかけ

このままではダメだと感じて、4年目に退職を決めました。決断のきっかけは3つあります。

①体力的にもう限界だった

睡眠不足が常態化して、明らかに体が悲鳴を上げていました。30代で体力がガタ落ちしている自覚があり、「この生活をあと5年続けたら、命を落とす」と本気で思いました。

②居眠り運転で一生を棒に振るリスク

トラックの居眠り運転事故は、自分の命だけでなく他人の命も奪う可能性があります。もし大事故を起こしたら、自分の人生だけでなく、他人の家族をも巻き込む。それを考えると、続ける選択肢はありませんでした。

③結婚することになった

最後の決定打が、結婚でした。

これからパートナーと生活を共にする中で、こんな労働時間で家庭を維持できるはずがない。「家庭を崩壊させるわけにはいかない」という強い気持ちが、転職を後押ししました。

友人の紹介で転職、収入減でも幸せ

幸い、結婚を機に友人に相談したところ、その友人の職場で募集があるという話をもらえました。紹介経由で面接を受け、転職することができました。

新しい職場の働き方:

朝8時出発

夜18時には自宅

休みもしっかり取れる

家族との時間を持てる

収入は運送業時代より大きく減りました。生活費も出費が増えて、家計的には正直厳しい時期もありました。

それでも、精神的な余裕が生まれたことで、私は今のほうがずっと幸せです。

失って気づいた「時間と健康」の価値

運送業時代と今を比較して、強く感じることがあります。

運送業時代の私は、お金は稼いでいたけれど、それ以外のすべてを失っていたのです。

・睡眠時間

・健康

・家族との時間

・趣味の時間

・心の余裕

これらすべてを犠牲にして、引き換えに得ていたのが手取り収入でした。

転職して収入は減ったけれど、失っていたものが全部戻ってきました。朝、ゆっくり起きられる。夜、家族と夕食を食べられる。週末は完全に休める。これだけのことが、こんなにも幸せなのかと驚きました。

製造・物流系で短期派遣を経験した別の方の体験談もあります。フリーランスのライター業の繁閑差を埋めるため、ゼリー飲料工場の梱包業務を4ヶ月。夏は機械熱でエアコン効かず、冬は作業着が濡れて乾かない——食品工場の意外な環境問題に苦労しながら、契約期間を満了したリアルな話です。

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これから運送業を目指す人へ

最後に、これからトラック運転手を目指す人に伝えたいことがあります。

①会社選びは最重要

運送業は会社によって労働環境が天と地ほど違います。大手の自社案件中心の会社と、中小の下請け中心の会社では、まったく別の仕事と思った方がいい。

入社前に、

・1日の平均労働時間

・休日数

・夜間配送の頻度

・人手不足の状況

を、具体的に確認してください。「忙しいときは大変ですよ」みたいな曖昧な答えしか返ってこない会社は、ほぼ確実にブラックです。

②人間関係が苦手な人には向いている職業ではある

私のように、オフィスで他人と関わるのが苦手な人にとって、運送業は本当に向いています。孤独な仕事ですが、それは見方を変えれば「自分のペースで働ける」ということ。

③体を壊す前に転職を

居眠り運転、過労、慢性疲労。これらが日常になっている運送業界で、自分の体と命を守ることを最優先にしてください。

「もう少し頑張れば」という気持ちで続けて、取り返しのつかない事故を起こす人を、業界では何人も見てきました。

④収入減を恐れない

転職で収入は減ります。でも、健康と時間と家族は取り戻せません。お金で買えないものを失わないために、収入減は受け入れる価値がある選択です。

私自身、運送業を辞めて4年経ちますが、後悔は一度もありません。

あの頃の自分に伝えたいのは、「お前が今守るべきは、目先の給料じゃなくて、自分の体と未来だ」ということです。

これを読んだ誰かの参考になれば嬉しいです。

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