タイムカードは、毎日きっちり7時間半で切らされていました。
でも実際は、朝から夜まで店にいました。
これは、新卒で入ったアパレルの会社が、想像していたよりずっとブラックだった話です。
📌 体験者プロフィール
・年代:20代(体験当時・新卒入社〜転職まで)
・業界・職種:アパレル販売(スーツとカジュアル衣料を扱う販売員)
・雇用形態:正社員(内定後に研修を兼ねたアルバイト期間あり)
・企業規模:中小企業
・当時の立場・役職:新卒の販売員(新人)
・退職状況:退職済み(同じ業界の別企業へ転職)
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
「どこでもいいや」で、就職先を決めた
正直に言うと、就活はかなり適当でした。
業界のことなんて、どれもそこまで詳しくなくて。どこでもいいや、くらいの感覚で受けていたんです。
そんな時に、初めて内定をくれた会社がありました。とにかく早く就活を終わらせたかった私は、深く考えずにその内定を承諾しました。
そこはアパレル業界では、そんなに目立つ会社ではなくて。スーツを売るのがメインで、その傍らでカジュアルな洋服も扱っている、いわゆる中小企業でした。
そこで、販売員として働くことになったんです。
内定後のアルバイトは、楽しかった
アパレルなんて、それまで一度もやったことがありませんでした。
内定が出てすぐ、「家の近くの店舗で、研修も兼ねてアルバイトをしてみたら」と勧められて。勧められるまま、バイトを始めることにしました。
そこは路面店で、お客さんがあまり来ない、わりと暇なお店でした。
なので接客の経験をそんなに積めないまま、新卒の春を迎えることになるんですが……このバイト期間自体は、すごく楽しかったんです。
初めての接客で、見ず知らずの人に声をかけること自体に抵抗があって。最初は怒られてばかりでした。
でも、だんだん慣れてくると、これが意外と楽しいなと思えてきて。
そんな気持ちのまま、新卒の入社を迎えました。
研修初日は、なぜか精神論だった
入社して、まずは研修ということになりました。
ところが、初日からなんだか嫌な予感がしたんです。
それが、精神論の授業みたいなものでした。よくわからない会社の精神を大声で唱えたり、親への感謝の気持ちを大声で叫ばされたり。
てっきり、お洋服のことを勉強できるんだと思っていたので。これでいったい何がしたいんだろう、と頭の中が「?」でいっぱいになりました。
お洋服の研修は、結局ほとんどなかった
精神論のあとには、一応お洋服の研修もありました。
ただ、お店が忙しかったのか、研修担当の人が何度も入れ替わってしまって。
結局、研修らしい研修を受けないまま、店舗への配属が決まってしまいました。
配属された大きな店で、聞いていた話と全部違った
私が配属されたのは、大きなお店でした。
大きい=忙しい、かというと、別にそうでもなくて。なのにここで、私はこの会社の「闇」に触れることになります。
まず、拘束時間が説明会で聞いていた話と、まったく違いました。
開店は朝の10時。拘束時間は7時間半、と聞いていたんです。
でも実際は、閉店の20時まで拘束されました。しかも休憩も、7時間半で計算されているので、1時間しかもらえない。
それなのにタイムカードは、きっちり7時間半で切らされるんです。
それ以降の時間は、本当なら残業になるはずですよね。でもこの会社には、そもそも「残業」という感覚がないみたいでした。
ここが、一番闇だなと思った部分です。
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朝は1時間前、終わってもすぐには帰れない
拘束が長いだけじゃありませんでした。
開店前の準備は、新人が1時間前に来て、全部終わらせないといけない。
閉店したらしたで、ミーティングがあったり会議があったりで、なかなか帰れない。
そのくせ、朝は早い。これがずっと続きました。
休みは月に5日、有給なんて言葉もなかった
休み自体も、すごく少なかったです。
月に5日あればいいほう。有給という考え方も、まったくありませんでした。休めるのは、その月の決まった休みくらい。
そんな状態だなんて知らずに働いていたので、私はだんだん心がすり減っていきました。
休みの日は、ひたすら寝るだけ。気づけば、友達ともすっかり疎遠になっていました。
それでも、悪いことばかりじゃなかった
ここまで書くと最悪な会社みたいですが、もちろん良かったこともあります。
拘束時間はあんなに長かったのに、人間関係は良くて。自由に過ごせる時間も、他の会社より多いほうだったと思います。
普通、ずっと拘束される時間って、忙しくて詰められるのが当たり前だと思うんです。でも、そういうのはなくて。
数字が悪いと怒られることはあっても、営業職ほどの数字のプレッシャーはありませんでした。
あと、スーツが好きな私にとっては、新人のうちからスーツに触れて販売できるのが、純粋に嬉しかった。いい刺激になりました。
普段はなかなか出会わないような職業の人たちと、仲良く話すきっかけができたのも良かったです。人からの刺激が、たしかにありました。
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自爆営業をしないと、怒られた
でも、いいことばかりじゃありませんでした。
一番こたえたのは、お金のことです。
個人の売上は、しっかりノルマが決められていて。達成できなければ怒られる。お店の予算も、達成できなければ怒られる。
そうなると、必然的に自爆営業をするしかなくなるんです。自分で買って、数字を埋める。これが、本当に嫌でした。
もともと給料は低くて、残業代も出ない会社です。そこに自腹が乗ってくるので、お金には本当に困りました。
しかも、販売職なのにボーナスがない。これも地味に痛かったです。
モチベーションなんてあるはずもなく。「とにかく売らないと怒られる」とだけ自分に言い聞かせて働いていたので、心はどんどんすり減っていきました。
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転職して、やっと分かったこと
そんなことが続いて、私はすぐに転職をしました。
ただ、これまでの経験は活かしたかったので。同じ業界に残って、また販売の仕事を選びました。
その会社が、自分にすごく合っていて。前よりもっと成長させてもらえて、今では感謝しています。
前の会社には、もう二度と行きたくないし、働きたくない。心の底から、そう思います。
ブラック企業で得られるものなんて、何もない。
それだけは、身をもって知りました。
編集部より
タイムカードを所定の時刻で打刻させ、そのあとも働かせる。これは「サービス残業」と呼ばれますが、実態は、払われるべき賃金が払われていない状態です。労働時間はタイムカードだけでなく、実際のシフトや出退勤の記録からも示せる場合があります。本文で語られた自爆営業も、ノルマ達成のために自社商品の購入を事実上強いられていたなら、問題のある行為です。「残業という感覚が会社にない」のは社風ではなく、本来あるべき線引きが抜け落ちていた、という見方もできます。
辞めるか続けるかを決める前に、まずは自分が置かれている状況を、一度言葉にして書き出してみるのもいいかもしれません。一人で抱え込まず、信頼できる人や下記のような窓口に話してみることで、見えてくるものもあります。
困った時の選択肢
【同じアパレル業界で、まともな会社へ移りたい方へ】
「販売の仕事自体は嫌いじゃない。ただ、今の職場の労働環境がおかしいだけ」——そう感じているなら、同じアパレル・ファッション業界の中で、もっと条件の良い会社へ移るという選択肢があります。iDAはアパレルやコスメ業界に特化した転職サービスで、全国対応・正社員も派遣も扱っているので、「同じ販売でも、会社によってこんなに違うのか」を知る入り口になります。
そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
・有給も取れず、辞めると言い出せる空気でもない……と限界を感じている方は
・辞める前に、他の会社や他業界の働き方・口コミ・年収を調べて比べておきたい方は
・心身が限界に近いと感じる方は、抱え込む前に、自分の気持ちを整理するセルフケアから
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公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。残業代や自爆営業の扱いを労働問題として相談したいときは、こうした窓口も使えます。
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