予約の時間に遅れてきたのは、その患者さんのほうだった。
それなのに、待たされたと怒鳴られたのは、受付に座っていた私だった。
医療事務という仕事には、こういう理不尽が日常的に転がっています。
地方にある小さなクリニックで、私は2年間、医療事務として働いていました。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:女性
・業界・職種:医療事務(地域密着型クリニックの受付・保険請求業務)
・雇用形態:パート・アルバイト
・企業規模:個人経営(小規模クリニック)
・在籍期間:2年
・退職状況:退職済み
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
地方の小さなクリニックで、医療事務という名の何でも屋だった
私が働いていたのは、地方にある地域密着型の小さなクリニックでした。
内科と皮膚科を中心に診ているところで、私はアルバイトの医療事務として採用されました。
任されていたのは、受付業務、保険請求業務、患者さんの対応がメインです。
ただ、人手が足りないクリニックだったので、それだけでは終わりませんでした。手が空いていれば看護師さんのサポートに回ることもあり、「医療事務」という肩書きで採用されたはずなのに、実際は何でも屋に近い働き方だったと思います。
小規模なのに、一人あたりの業務量が異常だった
人手不足の職場では、とにかく業務が多岐に渡ります。
予約の受付、患者さんのカルテ管理、保険の確認、レセプトの作成。これらを限られた人数でこなさなければなりませんでした。
クリニックの規模は決して大きくないのに、一人あたりの業務量はとてつもなく多い。しかも効率よく、スピーディーに処理することを常に求められます。
待合室には患者さんが待っているので、ゆっくり確認している余裕などありません。次から次へとやることが押し寄せてくる感覚で、気を抜ける瞬間がほとんどありませんでした。
9時から15時の契約が、帰宅は18時過ぎ
勤務時間は、午前9時から午後3時までという契約でした。
でも、実際にその時間どおりに帰れたことは、ほとんどありません。残業が多く、勤務終了時間を超えて働くことが日常茶飯事で、帰宅が午後6時を過ぎる日も頻繁にありました。
つらかったのは、その残業代がほぼ支給されなかったことです。
働いた時間に見合うものが返ってこない。勤務時間が長くなればなるほど、自分のプライベートの時間だけが削られていきました。
何のために働いているのか、わからなくなる日もありました。
遅刻してきた患者さんに、怒鳴られた日
ある日、診療の予約時間に遅れてきた患者さんが、怒り心頭の様子で来院されました。
そして私に向かって、「どうしてこんなに待たせるのか」と激しく言ってきたのです。
でも、待ち時間が延びた原因は、その患者さんご自身の遅刻でした。クリニック側の責任ではありません。
私はなんとか冷静になろうとして、事情を説明し、同時に謝罪もしました。説明には一応納得してくださったものの、怒りはなかなか収まらない様子でした。
こんなふうに、理不尽なことで怒鳴られる場面は、しばしばありました。
自分が悪いわけではないとわかっていても、目の前で怒りをぶつけられると、精神的にかなり消耗します。クレーム対応というものが、どれだけストレスフルなのかを、身をもって実感しました。
ベテラン女性の無言の圧と、女性同士のマウント
職場の雰囲気は、正直に言ってかなり悪いものでした。
スタッフ同士のコミュニケーションはぎこちなく、時には無視されることもありました。特にベテランの女性スタッフが新人に対して厳しく、常に精神的なプレッシャーを感じていました。
自分の業務がミスなくこなせるようになっても、安心はできません。次から次へと新しい業務が追加されていくので、ずっと緊張感を保ち続けなければならないのです。
女性同士でマウントを取り合うような、独特の空気もありました。誰が上で誰が下か、見えない序列のようなものが流れていて、それに気を遣うだけでも疲れます。
職場に行くこと自体が辛い時期も、正直ありました。
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時給1000円、ボーナスも手当も交通費もゼロ
給与は時間給で、入社当時は時給1000円。残業代もほとんど出なかったので、月収は本当に低いものでした。正直、生活に困ることもありました。
ボーナスや各種手当は一切支給されず、福利厚生もほとんど整っていません。歩いて通える距離だったこともありますが、交通費の支給すらありませんでした。
退職する頃には時給が1200円まで上がっていましたが、ボーナスも手当もない状況は、最後まで変わらないままでした。
専門的な業務を任されているのに、それに見合う待遇とは、到底思えませんでした。
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昼休みは15分、熱があっても出勤した
やることがあまりに多いので、休憩時間を削って作業をしなければならないことも、よくありました。
業務が立て込むと、昼休みもまともに取れません。昼休憩が15分しか取れない日もあって、食事の時間すら十分に確保できないことが、しばしばでした。
さらに、病気や怪我をしても、半ば無理やり出勤しなければならない状態でした。
体調が悪くても代わりがいないので、休めない。働く人の体のことなど、ほとんど考えられていない環境だったと思います。
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2年で見切った判断は、間違っていなかった
2年ほど勤めたところで、私はこの職場を辞める決断をしました。
精神的にも肉体的にも、本当に厳しい環境でした。これ以上ここにいたら、心も体ももたない。健康を損なう前に退職するのが最善だと判断しました。
後から知ったことですが、他のスタッフも同じように感じていたようです。定期的に人の入れ替わりが多い職場で、半年に一度は誰かが辞めていくペースでした。
だから私が辞めたことも、想像どおりの展開だったのだと思います。むしろ2年続いた自分は、持ったほうかもしれません。
医療事務という仕事自体は、やりがいのある素晴らしい仕事だと、今でも思っています。ただ、とにかく疲れる仕事でもあります。特に女性ばかりの職場は、人間関係が複雑になりがちです。
もしこれから医療事務を目指す方がいるなら、伝えたいことがあります。
自分の意思をしっかりと持って、周りに振り回されず、淡々と仕事をこなせる人。そういう人が、この仕事には向いていると思います。
私のように人間関係に消耗してしまうタイプは、職場選びを慎重にしたほうがいいかもしれません。
女性ばかりの職場で、人に消耗してしまう人へ
小規模なクリニックの医療事務は、受付・会計・レセプト・患者対応に加えて看護師の補助まで、限られた人数で一手に引き受けることになりがちです。契約は9時から15時なのに帰宅が18時を過ぎ、その残業代がほぼ支払われないのは、本来は賃金未払いにあたります。半年に一度は誰かが辞めていく高い入れ替わりも、この負担の重さを裏づけています。
女性が多い職場特有の序列やマウントに業務量の多さが重なると、消耗は一気に深くなります。体調を崩す前に距離を取る判断は逃げではなく、2年続いたこと自体が十分すぎるほど頑張った証拠です。
困った時の選択肢
【お局やクレームに耐えながら、自分から「辞めます」と言い出しづらい方へ】
代わりがいなくて休めない、辞めると言い出しにくい——そんな環境では、退職の意思を伝えること自体が大きな負担になります。退職代行は、その最初のひと言を本人に代わって会社へ伝えてくれるサービスです。性別を問わず、弁護士法人ガイアの退職代行なら、未払い残業代など法的な対応も含めて相談できます。
そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
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公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省・残業代の不払いや休憩が取れない働き方の相談)や、よりそいホットライン(0120-279-338・24時間・無料)が無料で相談に乗ってくれます。
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受付からレセプト作成まで、座って画面に向かう時間が長い仕事だと、腰や背中への負担がたまっていきます。長く座る日に、椅子に置く腰当てクッションを使っている人もいます。

