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大学教員を辞めて専業主婦に|業績競争の立ち回りとモンペに限界がきた話

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「ご職業は?」と聞かれて「大学の教員です」と答える瞬間、正直に言うと、優越感のようなものを感じていました。

「尊敬します」「頭いいんですね」「すごいですね」

返ってくる反応は、いつもこんな感じ。教授や准教授というポストに就いたときは、その肩書きを口にするのが、心地よくさえありました。

でも、そんな気持ちは長く続きませんでした。大学教員という仕事のストレスが、想像をはるかに超えていたからです。

最終的に私は、大学教員を辞めて専業主婦になりました。世間から見れば「もったいない」と言われる選択かもしれません。それでも、私は今の生活に満足しています。

これから書くのは、大学教員という職業の、知られざるリアルです。これから目指す人、すでに大学で働いていて疲弊している人、そして「大学教員ってどんな仕事?」と興味を持っている人に、何か届けばと思います。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:女性(退職時30代後半)

業界・職種:大学教員(教授・准教授まで経験)

企業規模:中堅以下の大学

退職状況:退職済み(現在は専業主婦)

体験形態:実体験ベース

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

「先生は休みが多くていいね」という大きな誤解

大学教員と聞くと、世間の人はなんとなく「優雅で、時間に余裕のある仕事」というイメージを持っているかもしれません。

夏休みや春休みは長い、授業のコマ数は少ない、研究室にこもって好きなことをやっていればいい——そんなイメージ。

実態は、まったく違います。

大学では「教育と研究、両方の柱をこなして一人前」とされます。これが、そもそもの大変さの原点です。高等教育機関であり、同時に研究機関でもある大学で、教員はその両方を担わなければならないからです。

授業の準備、講義、ゼミ指導、学生の論文指導、研究活動、論文執筆、学会発表、学内委員会、入試業務、オープンキャンパス、教員採用人事、外部資金獲得のための申請書作成。

全部、やります。

夏休みや春休みは、確かに授業はありません。でも、授業がない期間にこそ研究を進めるのが、大学教員のリアルです。論文を書いて、学会発表の準備をして、外部資金の申請書を書いて、来期のシラバスを作る。休んでいる暇なんて、どこにもありません。

ストレス①:業績競争という名の不公平ゲーム

大学教員の最大のストレスは、業績を積み上げることへのプレッシャーでした。

評価軸は、基本的に「研究業績」です。論文の本数、学会発表、外部資金の獲得額。これらが昇進に直結します。

問題は、その研究時間の確保が、教員の立ち回りの上手さで決まってしまうことです。

大学には「○○委員会」という雑用が無数にあります。入試委員会、カリキュラム委員会、学生部委員会、図書委員会、FD委員会、自己点検評価委員会。数え切れません。しかもこれらの仕事は、ほとんどの場合、本人の研究業績とは関係ない。

立ち回りの上手い教員は、こういう仕事をうまく避けます。

「いやー、今学期は研究で手一杯で」「来期から国際共同研究が始まるので」「この時期は学会発表が立て込んでいて」

それらしい理由を並べて、するりと逃げていく。そして空いた時間で論文を書いて、業績を積み上げる。

一方、立ち回りの下手な教員は、これらの仕事を一手に引き受けます。委員会、委員会、また委員会。授業の合間が、すべてその活動で消えていく。

じゃあ、授業の準備はいつやるのか。夜です。

通常業務が終わってから、ときには19時頃までの授業を終えてから、ようやく研究室で授業準備を始める。当然、時間外勤務なんて概念はありません。すべて、自分の時間を持ち出すしかないんです。

講義名義貸しという闇の慣習

さらに腹立たしいのが、講義の名義貸しでした。

授業のコマ数を最小限に抑えて、講義担当者は自分の名前だけ載せておく。実際の授業は、下の教員——助教や非常勤講師——にやらせている。そういう人がいるんです。

教育は大学教員の本来業務のはずなのに、研究活動に比べると評価のウェイトが低い。だから、こういう抜け道が生まれます。

結果として、雑用も教育もうまく逃げて研究にいそしんだ教員が、最も多くの業績を積み上げる。学内で昇格して、より上のポストの大学から引き抜きの声がかかる。

これが、大学教員の世界の不合理です。

そして、こういう業績第一主義の大学では、教員間の人間関係も当然よくありません。

大人の集まりですし、社会的地位もある人たちですから、表面的にはそれなりの品位を保っています。でも、心の底から信頼し合えるような人間関係は、ほとんどない。なんとなく希薄で、上辺だけの付き合い。

「なんだかなあ」と思いながら、毎日笑顔で挨拶を交わしていました。

ストレス②:大学にもモンペがいる

大学教員のストレスとして、もうひとつ大きかったのが、保護者対応です。

「え、大学なのに?」と思いますよね。

これも、大学のレベルによります。学生の質が高い優良大学では、こういう問題は少ないかもしれません。でも、私が在籍していたような中堅以下の大学では、深刻な問題として存在していました。

学生のレベルが低いと、まず単位の認定そのものが難しくなります。

「ここは大学だよね?」と疑いたくなるような計算を教えないと、その上に積み上げる専門知識が理解できない。手取り足取り、本来は高校までで身につけているべき内容を教えることになります。

そして、自学自習ができる学生が、ほんの一握りしかいない。授業を真面目に聞いて、家で予習復習をして、自力で発展的な学習に取り組む——そんな学生に出会えたら涙が出るほど嬉しい、というレベルです。

それでも、試験をして単位を認定するのが教員の仕事です。多くの学生のために、答案やレポートから何とか加点できる箇所を探して、合格点に近づけようと努力する。それでも足りなければ追試をする。それでもダメなら、残念ながら不合格にせざるをえません。

そして、ここで登場するのが「親」という存在です。

「弁護士に相談します」という脅し

不合格にした学生の親から、こんなクレームが入ります。

「先生の教え方が悪いんじゃないですか」「月曜1コマ目に授業を組むのが悪い」「うちの子だけ落とすのはおかしい」

挙句の果てには、こう言われます。

「弁護士に相談します」

そうなると、話が大きくなります。学部長、学長、事務局長といったトップ陣まで出てきて、私にこう言うんです。

「先生、なんとかしてください」

なんとかしろと言われても、規程通りに不合格にしただけ。なのに、組織の上層部から「対応しろ」と圧力をかけられる。これがどれだけストレスフルか、想像できるでしょうか。

「いるよねー、モンスターペアレント」

私が在籍した大学でも、知り合いの教員が勤める別の大学でも、この話になると意見が一致します。大学だからモンペがいない、なんてことは、まったくないんです。

30代後半、限界が来た

業績競争のプレッシャー、立ち回りの上手い同僚への嫉妬、表面的で希薄な人間関係、学生のレベルの低さ、そしてモンペ対応。

すべてが少しずつ積み重なって、私はある日、考えました。

「この貴重な人生を、こんなストレスに費やしていいのか」

人生は、決して長くありません。限られた時間をどう使うかは、誰にとっても大事な問題です。毎日18時間以上もストレスに苛まれながら過ごす生活を、いつまで続けるべきなのか。

決して高くない給料。立ち回りの上手い同僚たちの昇進。終わらない委員会業務。夜中まで続く論文執筆。

退職を、決意しました。

関連記事:公立小学校教師を辞めて専業主婦になった話|「給料泥棒」発言・モンペ・査定の闇で限界きた本音

専業主婦という選択への葛藤

最終的に私は、教員を辞めて専業主婦になりました。

正直、葛藤はありました。あれだけ努力して大学教員になって、教授・准教授というポストまで上り詰めたのに、それを手放して専業主婦になる。世間からは「もったいない」と言われそうな選択です。

収入面でも、不安はありました。これまでの安定した収入が、一気にゼロになるんですから、当然です。

それでも、決断しました。

理由はシンプルです。自分の人生を、自分のペースで生きたかったから。

関連記事:中学教師を辞めて専業主婦になった話|モンペ・サビ残・いじめ隠蔽に疲れた私の本音

専業主婦になって気づいた「時間」の価値

退職して専業主婦になってから、私の生活は劇的に変わりました。

朝、決まった時間に起きる必要はありません。委員会の準備に追われることもない。学生の親からのクレームに怯えることもない。立ち回りの上手い同僚と、無駄な競争をする必要もない。

ゆったりと、自分のやりたかったことに、自分のペースで取り組める毎日。これがこんなにも充実するものだとは、現役の頃には想像もできませんでした。

収入のことを考えると、確かに大学教員時代のほうが安定していました。でも、1日の18時間以上を業務に拘束されることを思えば、あの給料は決して高くなかったと、今なら分かります。

時間という、最も貴重な資源を、自分のために使えるようになった。それだけで、私は今の選択に満足しています。

これから大学教員を目指す人へ

最後に、これから大学教員を目指す人に伝えたいことがあります。

大学教員は、確かに社会的地位のある仕事です。研究を通じて社会に貢献できる、素晴らしい職業でもあります。

でも、その裏には、業績競争、委員会雑用、人間関係、モンペ対応といった、想像以上のストレスが待っています。「優雅な研究生活」というイメージで進路を決めると、必ず後悔します。

それでも目指したいなら、ひとつだけアドバイスします。

立ち回りが上手くなる訓練を、今のうちからしてください。

雑用をうまく逃げる技術、面倒な仕事を断る勇気、業績をアピールする方法。これらを身につけている人だけが、大学教員として生き残れます。

逆に、私のように真面目に全部引き受けるタイプは、確実に消耗します。

そして、もし今、大学教員として疲弊している人がいたら、辞める選択肢も視野に入れてください。私が証明しているように、辞めても人生は続きますし、むしろ充実することもあります。

自分の人生を、誰のためでもなく、自分のために生きてください。

関連記事:大学の実習助手6年で退職した話|任期制・サビ残・年収400万のリアル

大学で研究を続けることに、限界を感じている人へ

大学教員の評価は研究業績が中心ですが、その研究時間は能力でなく「立ち回り」で決まります。

評価に結びつかない雑務を断れる人ほど昇進し、真面目に引き受ける人ほど消耗する——頑張り方の向きが、そのまま報われ方の差になるのが、大学という職場の急所です。

社会的地位ゆえ「もったいない」で辞めにくいですが、研究や教育で培った力は別のフィールドでも十分に通用します。一人で抱え込まず、下記の窓口を覗いてみてください。

困った時の選択肢

【「もったいない」と言われても辞めたい方へ】

「もったいない」と言われるのが分かっていても、もう限界——。

そう感じている方には、弁護士が対応する退職代行という選択肢があります(退職相談は無料・学校や大学とのやり取りも代わりに引き受けてもらえます)。
弁護士法人ガイアの退職代行

そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。

・大学を離れて、企業など他業界での転職を本格的に考えたい方は(対応エリアの方は年収・働き方の相談も)
 → type転職エージェント(総合転職・20〜40代)

・まずは大学の外にどんなキャリアの道があるか、口コミや実態から調べてみたい方は
 → ワンキャリア転職(口コミ・選考体験談で他のキャリアを知る)

・心身が限界に近いと感じる方は、抱え込む前に、自分の気持ちを整理するセルフケアから
 → 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)

公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。

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夜遅くまで論文や資料に向き合う日が続くと、首や肩がこわばってくる。そのこりを少しでもゆるめるために、首元を温めるグッズを使っている人もいます。

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