自分には、これといって尖ったところがない。
人より顔がいいわけでも、声がいいわけでもない。
そんな自覚のある人間が、それでも自分の言葉で何かを発信して、わずかでもお金をもらえた時期がありました。
これは、ただの凡人だった私が、声だけの解説系YouTuberとして収益化して、そして静かに辞めるまでの話です。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:20代男性(体験当時20歳〜)
・業界・職種:個人YouTuber(時事・ニュース解説/VTuberスタイル・声のみ)
・活動形態:個人活動(副業・収益化済み)
・活動期間:大学在学中(始めて約半年で収益化)
・当時の立場:顔出しなしの個人運営者(企画・撮影・編集すべて一人)
・現在の状況:更新停止=実質引退
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
暇だった大学生が、声だけのVTuberで解説動画を始めた
大学2年、20歳のころ。
とにかく暇を持て余していました。
それで、時事解説系のYouTubeチャンネルを開設したんです。やっていたことは単純で、その日いちばん重要だと思うニュースや、注目されているトピックを選んで、私自身の言葉で解説する。それだけ。
いわゆるVTuberのスタイルで、顔出しは一切しませんでした。声だけ。
理由ははっきりしていて、どうせ平凡な顔と声の私では、タレント的な売れ方なんてできっこないと思っていたからです。だったら「自分の解説」のほうに力を入れて、聞いてくれる人にちゃんと理解してもらうことに賭けるしかない。要するに、内容勝負でした。
本当に暇な大学生だったので、動画作りに慣れてからは、毎日投稿するくらいのめり込んでいました。
動画の組み立て方は、いつも同じだった
構成はずっとワンパターンでした。
まず、その動画でいちばんキャッチーになりそうな場面を冒頭にもってくる。そこからニュースの概要を話して、背景を説明して、最後に自分なりの解釈や考察、感想を述べて終わる。
ただそれだけのシンプルな型です。
でも、その型があったから毎日続けられたんだと思います。
半年で、収益化ラインを超えた
最初は、まったく伸びませんでした。
ところが試しに、自分でも面白く話せたなと思う部分を切り取って、自己紹介用にまとめ直した動画を改めて公開してみたんです。そうしたら、じわじわと再生数が増え始めました。
その自己紹介動画がきっかけになって、「関連動画」から別の動画も見てもらえるようになって。半年後には、無事に収益化の条件をクリアできていました。
チャンネル登録者1000人と、総再生時間4000時間。
始めたころは途方もない道のりだと思っていた数字に、自分が思っていたよりずっと早くたどり着けてしまった。
そしてこの活動で、収入を得られるようになりました。お小遣い程度だったとしても、貧乏な大学生にとっては、本当にありがたいことでした。
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生配信なら、もっと稼げたはず。でも踏み出せなかった
正直、生配信をやればスーパーチャットなんかでもっと儲かるんじゃないか、とも思っていました。
でも、できなかった。
自分からVTuberスタイルを選んでいたせいで、「生配信中、なにかの事故で顔バレする」のが怖かったんです。あと、編集でカットできない生配信だと、自分の話術が実はそこまで流暢じゃないことがバレてしまう。それも、踏み切れなかった理由のひとつでした。
時間は自由なのに、毎日投稿がきつくなっていった
この活動のいいところは、時間に縛られないことでした。
ほかのバイトと違って、自分の好きな時間に作業できる。これはものすごく魅力的でした。
でもその一方で、毎日の投稿はときどき、きつく感じられたんです。モチベーションを保ちながら続けるのが、だんだん難しくなっていきました。
あとから振り返ってみると、私は収益化という目標に向かって、ゲーム感覚で熱量を注げていたんだと思います。だから、その目標が達成されてしまったあとに、ふっとやる気が落ちることが増えました。
たぶん、ある種の燃え尽き症候群だったのかもしれません。
動画を出す人間は、思っていたより孤独だった
この活動で、人間関係はとくに増えませんでした。
動画投稿者って、基本的に孤独なんですよね。あえて自分でコミュニティを作ろうとか、どこかのコミュニティに入ろうとか、私はまったく思わなかった。
これも、モチベーションを保てなかった原因のひとつかもしれません。もし近くに仲間がいたら、刺激をもらって、もう少し長く続けられたのかな、とは思います。
時事解説系のYouTuberに向いているのは、解説する力があって、なおかつ時間に余裕がある人。動画編集やLive2Dの技術を磨けるのも大きな魅力でした。でも結局のところ、何よりもモチベーションを保ち続けられる人こそが、第一線で活躍し続けられるんだと、いまは強く思っています。
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ずんだもんが、私の声の価値を奪っていった
この活動で身についたスキルは、いろいろあります。
動画編集やLive2Dの技術を磨いて、それなりにクオリティの高いものを作る力はついた。でも、それ以上のものはありませんでした。あくまでコンテンツの話で、誇れるレベルかというとそうではないし、誰に見せても恥ずかしくない仕事です、と胸を張れるものでもなかった。
そのうち、自動音声生成ソフトが進化し始めます。
たとえば「ずんだもん」。可愛らしい女の子の声で、勝手に喋ってくれるサービスです。ああいうものが出てきたことで、元々まったく魅力的ではなかった私の男声が、よりいっそう、どうしようもなく感じられるようになってしまった。
実際、視聴者数も伸び悩む時期にぶつかって、やる気はさらに削られていきました。もともと保てていなかったモチベーションと相まって、ついには「もうYouTuberも辞めてしまおう」という考えにたどり着いたんです。
正確には更新をしない状態になった、というだけなのですが。実質的には、引退でした。
凡人だった私が、それでも手に入れたもの
この活動を通して、良かったことや楽しかったことも、たしかに多かったです。
でも、振り返ってみると、つらい時期のほうが長かったように思います。
それは全部、私が凡人だったことに尽きるのかなと。なにか自分の中で尖っている部分、明らかに光っている部分がひとつでもあればよかったな、と憂いてしまう自分がいます。
それでも、自分の興味や好きな分野について発信できたことは、すごく貴重な経験でした。もちろん、アルバイト程度とはいえ収入があったことが、いちばんありがたかったのですが。
この経験はきっと、これからの自分にも活きてくると思っています。
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「凡人だから」と発信をためらっている人へ
この方の話で印象に残るのは、モチベーションが「収益化というゲームのクリア」に乗っていたことです。だからこそ、登録者1000人と4000時間に届いた瞬間、燃料が切れてしまった。
発信を長く続けられる人は、数字のような外側のゴールよりも「話したいこと自体」に火が残っている、というだけの違いなのかもしれません。
辞めたのは凡人だからではなく燃料の置き場所の問題で、身についた編集の技術も、好きなことを世に出した経験も、ちゃんとあなたの中に残ります。
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声だけで勝負していると、音の良し悪しは思っている以上に効いてきます。手元のマイクで物足りなさを感じている方は、配信やナレーション向けのコンデンサーマイクを一本用意するだけでも、聞き取りやすさがかなり変わります。

