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「声優は医師より難しい職業」と語る56歳現役|舞台兼業+実家手伝いの10年超

進路選択・夢の仕事系の体験談アイキャッチ 夢の仕事への道
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「声優になるのは、医師や弁護士になるよりも難しい」──10年以上この業界で生きてきて、私はそう断言できます。これは56歳の現役声優・舞台役者として、まだ舞台に立ち、まだアフレコの仕事を受けている男の話です。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:50代男性(体験当時20代〜56歳)

業界・職種:舞台役者・声優(実家の飲食店手伝い兼業)

雇用形態:フリーランス(声優事務所所属)

在籍期間:10年以上

当時の立場・役職:現役声優・舞台役者

退職状況:現職継続中

体験形態:実体験ベース

体験時期:1990年代〜現在

※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。

取り敢えず、声優をやっています

舞台役者をメインに、声優として声がかかればどんな仕事も受ける生活を、もう10年以上続けています。現在は56歳。妻と子供を養うために、役者と声優の仕事がない時期は、実家の飲食店を手伝うようにしています。

夢はずっと追い続けていたい。それが無くなったら自分が自分でなくなる。だから舞台には立ちたいし、アフレコの仕事でブラウン管の向こうから自分の声が聞こえてくるのは、止められません。もう一種の中毒です。

ただ、声優中毒患者でも家庭を持てば生きていかねばなりません。苦肉の策を打つ必要があり、私は私なりに今の形でここ数年は来ています。

思い返せば、高校生のときにシティハンターやバットマンの吹替声優の独特な声に憧れていたあの頃から、大学に進んで演劇部で芝居をするようになったのが10年以上前のこと。気づけば、ずいぶん遠くまで来ました。

声優という仕事の素晴らしさ|中毒症状について

芝居で舞台に立つことは、ことのほか快感です。ある意味、承認欲求が満たされます。同じように、声優として自分がアフレコした映像から自分の声が流れてくるのも、ことのほか快感であり、はまると抜けられない麻薬のようなものでもあります。

だから、若い人たちが声優を目指すというのは、大変理解できます。

ただ、この世界に10年以上いると、楽しい世界であり、しんどい世界であり、努力が求められる世界であり、同時にどうしても叶わない人がいる、上には上がいる世界だ、という風に感じています。

それでも昔と違って、いろんなことが整備されてきたという思いもあります。一緒に仕事をする声優仲間を見ていると、私たちの世代の頃とは異なり、今は一応「こうすれば声優になれる」という形ができている。

声優になるための方法①|声優専門学校

声優の専門学校に入る、というのが最もよく知られている形です。

声優専門学校は週5日の全日制が一般的です。授業時間が多いので、声優未経験でも基礎からしっかり学べることが特徴。一から声優を目指したいという志望者には、業界のこともわかるし、大変人気の選択肢です。

いたれり尽くせりで学生寮がある専門学校もあり、生活面から声優志望を支えてくれます。業界との繋がりが強い専門学校なら、運が良ければ、在学中に事務所から声がかかることもある。

ただし、専門学校に入っただけで声優になれるわけではありません。同じ夢を持って入ってきた同期との中で、自分がどこにいるのかを突きつけられる場所でもあります。

関連記事:都内の声優専門学校を1年で中退|親に学費を返済中の私が声優を諦めた話

声優になるための方法②|声優養成所

専門学校の次に、声優志望者が利用するのが声優養成所です。

養成所は、声優事務所や芸能事務所が新人声優を育てるために設ける養成機関。よく知られているように、活躍しているプロの声優の多くは、声優専門学校か声優養成所を経由しています。この2つが声優になるための王道ルートと言われます。

専門学校と比べて、養成所は厳しい。中にいる間に声優として「目が出る、目が出ない」という事を突きつけられるので、途中で辞めていく人もたくさんいます。

レッスンは週に1〜2回、2〜5時間程度。養成期間は1年〜2年。夜間や休日に行われることが多く、学生や社会人でも通えることが特徴です。学業や仕事と両立させながら学びたいという人は、このルートが一般的でしょう。

ただ、声優養成所に入るには基本的にオーディションを受ける必要があります。「入ったら学べる」ではなく、「入る時点で選別が始まっている」。これが養成所のリアルです。

関連記事:大阪の声優専門学校で2年|M-1予選参加・就職1ヶ月で限界を迎えた声優を諦めた話

声優になることの「難しさ」が意味するもの

いろんな方法で曲がりなりにも声優のポジションを獲得してきた連中を見て、強く感じることがあります。声優というのは、大変な仕事だ、ということです。

大変だ、というのは、仕事としてやりがいのある、子供達に夢を与える素晴らしい仕事である、というのがいの一番に来ます。ただ、そこを目指してトップ集団に入るというのは、大変なことだなあという思いの方が、正直、強い。

「なるのが大変な仕事」のベスト10を挙げれば、声優は5本の指に入ると思います。

なんといっても、一流声優という職業の数は10席から20席くらいしかありません。その数少ないプラチナシートを、数千人で取り合いしているわけですから、難易度は当然上がる。

医師とか弁護士になるよりも、割合からすると難しいと思います。当然、プロ野球選手になってグラウンドに立つよりも、割合からしたら難しい。

数少ない席を「天才」が取っていく現実

声優の場合、ポストが本当にありません。毎年増えるわけでもない。

そして、天才的にいい声に生まれてくる連中が、毎年数名います。

「こいつにはどうしても叶わない。どうしても。そんなインパクトのある声なの!」という連中が、毎年数名。

この手の連中に、数少ない声優ポストの席の半分近くを持っていかれる。だから、一般の声優志望者たちは、残った半分の席を取り合うことになります。

医師、弁護士、プロ野球選手は、努力が目標達成にほぼ正比例します。すなわち、努力すれば、その努力は実る世界です。

声優は違います。

異様な競争率になるので、本人の努力以外の他の要因が大きく働くことが多い。声、運、タイミング、誰と繋がっているか。そういうものが、努力の上に乗ってくる。

ただ地道に努力すれば声優になれる、というものではありません。

56歳、舞台と声優と実家手伝いで生きる

私自身は、トップ集団に入れたわけではありません。

舞台の仕事と声優の仕事、両方をやりながら、仕事がない時期は実家の飲食店を手伝う。これが私が選んだ生き方です。

家族を養うためには、収入の柱が必要です。でも、夢を諦めることはできなかった。だから、3本柱でやっています。舞台、声優、実家。どれかが欠けたら、たぶん私は生きていけない。

それでも、アフレコの現場でマイクの前に立つとき、舞台の幕が上がる前のあの暗闇に立つとき、私は「ああ、生きてる」と思うんです。

中毒患者の戯言かもしれません。でも、これが10年以上業界にいる人間の偽らざる本音です。

それでも声優を目指す若い人へ

これから声優を目指す若い人たちに伝えたいことがあります。

ひとつは、声優という仕事は、本当に素晴らしいということ。子供達に夢を与え、誰かの記憶に残る声を残せる仕事です。承認欲求も満たされる。中毒になるくらい、楽しい。

もうひとつは、そこは不合理な世界だということ。

努力が必ずしも実らない世界、天才が席を取っていく世界、運とタイミングが大きく作用する世界。そこに飛び込むという事を、事前に知っておく必要があります。

それを知った上で、なお飛び込むのなら、それなりの覚悟を持ってきてほしい。

入ってくる側がそれなりの覚悟を持つことができれば、私のような兼業スタイルも含めて、自分なりの形を見つけられるはずです。声優一本で食えなくても、声優を続けることはできる。私はそう信じています。

関連記事:美容師1年目で見た夢の代償|月16万・睡眠3時間の下積み地獄を8年続けた女性の体験談

編集部より

この体験談の鋭さは、声優という仕事を「努力が実らない世界」とはっきり言い切っている点にあります。医師・弁護士・プロ野球選手は努力が達成にほぼ正比例しますが、一流声優の席は十数席しかなく、その半分は毎年現れる「天才的にいい声」に持っていかれる。残りを数千人が奪い合う以上、声・運・タイミング・人脈という、努力の外側の要因が勝敗を分けます。ただ、この体験者が示すのは「諦めるか続けるか」の二択ではありません。舞台・声優・実家の三本柱で、声優一本で食えなくても夢の中に残り続ける——兼業という第三の道です。

夢に飛び込むかどうかを、収入の保証だけで測る必要はありません。ただ、努力が報われにくい世界だと先に知っておくことと、生活の柱をどこに置くかを設計しておくことは、夢を長く続けるための備えになります。

困った時の選択肢

【まずは低コストで、自分の声がどこまで通用するか試したい方へ】

この体験者が「養成所は入る時点で選別が始まっている」と語るように、いきなり高額な専門学校や養成所に飛び込むのは勇気がいります。月2回・オンラインのマンツーマンなら、費用を抑えて自分の声の使い方を試すことができます。現役を経たプロ講師による無料体験で、進路の相談から始めるのも一つの手です。

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