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美容系メーカー事務3年で受けたセクハラ|時短勤務の女性が転職を決めた体験談

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仕事中に上司と二人きりになる瞬間、私はいつも身構えていました。

書類を渡すとき、手の甲をすっと撫でられる。背中側を通るとき、肩に手が置かれる。「気のせいかもしれない」と何度も自分に言い聞かせて、それでも、何かが間違っているとわかっていました。

これは、美容系メーカーの事務として3年働いた女性の話です。

📌 体験者プロフィール

年代・性別:20代女性(当時22〜25歳)

職種:美容系メーカーの事務職(健康食品・化粧品・美容商品の受注処理)

雇用形態:正社員(持病のため時短勤務)

勤続年数:3年

年収:約300万円・ボーナス約10万円

退職後:教育業界へ転職(学生時代の塾講師経験を活かして)

※プライバシー保護のため一部の表現を編集しています

健康食品と化粧品の受注を、毎日捌いていた

新卒で内定をひとつだけもらえた美容系メーカーに入社して、私は事務として働き始めました。

仕事内容は、健康食品や化粧品、美容商品などの注文をお客様から受けて、伝票を発行し、商品を梱包して発送するまでの一連の流れ。お金の請求も、商品の箱詰めも、ぜんぶ自分で担当していました。

時短勤務だったので、フルタイムの同僚より少し早く帰る生活。それでも仕事量は多くて、毎日コツコツと注文を捌いていく日々でした。

年収はおよそ300万円、ボーナスは多くて10万円ほど。決して高い給料ではありませんでしたが、新卒の自分にとっては「働けていること」自体が大事だったので、不満を口にしたことはありませんでした。

自分が使うものを売る仕事は、思っていたよりずっと面白かった

この仕事をしていてよかったと思えたのは、扱う商品が普段から自分でも目にするものだったり、実際に使っているものだったりしたことです。

もし自分の興味がない分野だったら、同じように商品を発注していても、たぶんモチベーションは上がらなかったと思います。化粧品も健康食品も、女性として日常的に触れているものだから、自然と知識が増えていきました。

お客様から「この商品の使い心地はどうですか」と聞かれたとき、自分でサンプルを使ってみてから答えることもできました。事務的に答えるのではなくて、「私も使ってみたんですけど、こういう感じでした」と経験談を交えて話せると、相手の反応も柔らかくなる。

個人的な意見を相手に押しつけない範囲で、自分の言葉でアドバイスできた瞬間は、この仕事をしていて一番嬉しかった瞬間のひとつでした。

二人きりになる時間が、いちばん怖かった

ただ、この職場には、どうしても受け入れられない人がいました。

男性の上司です。

私は持病があって時短勤務という、社内では少し特殊な立ち位置でした。出社時間も退勤時間も他の人とずれているため、フロアにその上司と二人きりになる時間帯が、ときどき発生していたのです。

その時間に、セクハラを受けるようになりました。

手の甲を撫でられる。腰のあたりに手を置かれる。書類を覗き込む距離が異様に近い。一つひとつは「気のせい」で済ませてしまえそうな小さなことの積み重ねでしたが、それが続くと、毎日が緊張の連続になりました。

二人きりになる前に席を離れたり、別の作業に切り替えたり。自分の動き方が、だんだん上司を避けるためのものになっていくのを感じていました。

全員がイエスマンになる、その空気

セクハラだけが問題だったわけではありません。この上司は、自分の意見をどうしても通さないと気が済まない人で、職場の全員が、その人に従わざるを得ない構図ができあがっていました。

何を提案しても却下されます。それも、ただ却下されるだけならまだ良かった。提案した考えそのものを強く否定されて、人格まで傷つけられるような言い方をされる。だから、みんな自衛のために口を閉じていました。

職場の同僚たちは、決して無能な人たちではありませんでした。むしろ、ちゃんと考えて意見を持っている人ばかりだったと思います。でも、誰も声を上げない。「言っても無駄」「言うと傷つく」という学習が、職場全体に染みついていました。

私自身も、最後のほうは何も言わなくなっていました。

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仕事も人も悪くなかったのに、上司ひとりで全部が台無しになった

不思議なことに、その上司以外の人間関係や仕事内容は、悪くなかったんです。

時短勤務を認めてくれた会社、扱う商品への愛着、同僚との何気ない会話。本来なら長く続けられたはずの環境でした。

それなのに、たった一人の上司の存在が、毎日を耐え難いものに変えてしまった。

「上司ガチャ」という言葉がありますが、本当にその通りで、職場の他の要素が全部揃っていても、上司ひとりが決定的におかしいだけで、すべてが台無しになるのだと思い知りました。

体調にも影響が出始めて、持病とは別の心身の不調を感じるようになり、私は転職を決意しました。

3年で身についた事務スキルと、貯められたお金

辞めると決めてから振り返ると、3年間で得たものも、ちゃんとあったと思います。

ひとつは、事務職に必要なOfficeの知識。Word・Excelの基本操作、伝票処理、受注管理。今の職場ではあまり使わないので活かせていないのですが、もし次に転職することがあれば、履歴書に書ける経験として残っています。

もうひとつは、貯めたお金。決して高くない給料でしたが、3年間続けて貯めたお金は、その後の転職活動を支える命綱になりました。お金があるだけで「次が決まるまで踏ん張れる」という安心感は大きい。

3年間が無駄だったとは思いません。ただ、人間関係さえまともだったら、もっと長く続けられたのに、というのが正直な気持ちです。

美容系の事務に向いている人・向いていない人

3年間やってみて、美容系の事務に向いている人・向いていない人の輪郭は、なんとなく見えてきました。

向いているのは、やはり美容や健康、メイクなどに興味がある人。もともと興味がないのに毎日その分野の商品を扱うのは、想像以上にしんどいと思います。「仕事だから」と割り切れる人ももちろんいますが、毎日のこととなると、興味がある分野で働いたほうがずっと楽しい。

それから、ミスのない丁寧な仕事を、迅速にできる人。数字を1桁打ち間違えれば、お客様にとんでもない数量が届いてしまいます。問い合わせへの返信が遅れれば、会社の信頼が落ちる。「自分がされて嫌な遅い対応を、人にしない」という常識が、地味に大事な仕事です。

普段からLINEの未読スルーや既読スルーをしない人は、気質的に事務に向いているかもしれません。

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美容業界を離れて、教育業界へ転職した

転職するとき、同じ業界で続ける道もありました。でも、持病を抱えながら、地元で美容系の仕事を新たに見つけるのは、現実的には難しかったのです。

そこで思い出したのが、学生時代にやっていた塾講師の経験です。教育業界なら、人と話す仕事が中心で、興味も多少はある。何より、塾講師の現場感覚が体に残っていたので、すぐに馴染めるだろうという計算もありました。

実際、転職してみると、教育業界も嫌いではありませんでした。今もくらいついて続けられています。

それでも、変な人はどこにでもいる

ただ、ひとつだけ、現実的な発見がありました。

転職した今の職場の上司も、結局、悪質な人だったのです。

周りの声を聞いていると、変な人はどこにでもいるのだとわかります。職場を変えれば全部が解決するわけではない。新しい環境にも新しい変な人がいて、それと折り合いをつけながら働くのが、結局は社会人生活なのかもしれません。

でも、それでも、美容系メーカーの人間関係をリセットできたこと自体には、意味があったと思っています。心機一転で今の仕事を続けていられるのは、あのとき辞める決断をしたからです。

これから美容系の仕事に就く方がいるならば、ひとつだけ。仕事内容や商品は本当に楽しめる業界だから、あとは、まともな人間関係に巡り会えることを祈っています。

編集部より

この体験談が突いているのは、職場の良し悪しが平均では決まらない、という非対称性です。時短を認める制度、商品への愛着、同僚との関係——9割が揃っていても、セクハラと人格否定を重ねる上司がひとりいるだけで、毎日は耐え難いものに変わります。とりわけ時短勤務で退勤時間がずれる人は、特定の上司と二人きりになる時間が物理的に生まれやすく、被害が密室化しやすい。さらにこの体験者は、転職先にも結局”変な人”がいたと淡々と書きます。職場を変えることは万能薬ではない——それでも、加害者との関係をリセットできたこと自体に意味があった、と振り返っています。

ハラスメントは、我慢して慣れる対象ではありません。環境のほとんどが良くても、たった一人の加害で心身が削られるのなら、その手前で離れる選択肢を持っておくことは、逃げではなく自衛です。

困った時の選択肢

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加害者本人に退職を切り出すのは、想像以上に勇気がいります。「もう顔も合わせたくない」「引き止めや報復が怖い」という段階なら、会社と直接やり取りせずに退職手続きを進められる、女性向けの退職代行という選択肢があります。

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