大学3年生になったとき、私の頭の中にあったのは「絶対にアパレル業界に就職する」という一択だけでした。それくらい、洋服を扱う仕事に憧れていたんです。
けれど今振り返ると、あのとき軽い気持ちで飛び込んだアルバイト先こそが、その憧れを粉々にしてくれた張本人でした。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:20代女性(体験当時:大学3年生〜4年生ごろ)
・業界・職種:アパレル販売員(セレクトショップ)
・雇用形態:アルバイト
・企業規模:個人経営規模の小型セレクトショップ(10畳ほどの店舗)
・在籍期間:約1年
・退職状況:退職済み(IT関連職に就職)
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
憧れのアパレル業界へ、大学3年からのアルバイト
アパレル業界への就職を本気で考えていた私は、大学3年生になったタイミングでアパレルショップのアルバイトを探し始めました。
とにかく「アパレルで働いた経験」を履歴書に一行でも書きたかった、それだけが動機だったと思います。
近所のセレクトショップが求人のチラシを出していたのを見つけて、すぐに面接の予約を入れました。
面接に出てきた店長は30代の女性で、最初から「雇ってあげるんだから」という空気をにじませていて、正直なところ違和感はありました。
それでも、飲食店の接客バイトはやったことがあってもアパレルは未経験だった私は、ここで経験を積むしかないと思い込んでいました。
時給の安さも、シフトの細かい条件も、深く確認しないまま「まあいいか」で流してしまったんです。
いま思えば、あの「まあいいか」が全部の始まりでした。
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シフトも休みも、店長の匙加減ひとつ
店舗は10畳ちょっとしかない狭いセレクトショップでした。
レジの使い方やお客様への声のかけ方を一通り教わると、店長は初心者の私にもどんどん接客をさせて、どんどん売るように言ってきます。
一通りの仕事を覚えたころには、シフトも勝手に組まれるようになっていました。
学校の授業がある時間だけあらかじめ聞かれて、それ以外の時間はどんどん埋められていく。
特に腹が立ったのが、クリスマスや祝日です。
店長は必ずと言っていいほど休みを取っていて、その穴を埋めるのはいつも私や別のバイトの子でした。
店長は雇われの立場のはずなのに、オーナー社長はなぜか店長をとても可愛がっていて、休みの采配もほぼ店長に一任されている状態。
シフトのことで少しでも相談すると、返ってくるのは決まってこんな言葉でした。
「働くには責任があるんだよ」
「遊びの予定なら仕事をしろ」
そう言われ続けるうちに、シフトのことで文句を言うこと自体ができなくなっていったんです。
電話口で「もう2度と電話してこないで」
商品の多くは1万円以上する価格帯で、常連さんには売掛のシステムで販売することもありました。
これが結構ややこしくて、手書きのノートで管理する必要があったんですが、あるときレジへの打ち込みを間違えてしまったんです。
レジからは今まで聞いたことのない異音が鳴り続けて、私一人ではどうにもできませんでした。
困った私は、休日中だった店長に電話をかけました。
「休みなのに何なの?自分で解決して」
そう言われて電話を切られてしまい、仕方なくオーナーにも電話してみたんですが、「うーん。わからない。店長に聞いて」と、こちらもまともに取り合ってもらえません。
結局、自分であれこれレジをいじっているうちになんとか直ったんですが、翌日、店長に呼び出されました。
待っていたのは大激怒です。
「もう2度と電話してこないで」
「なんで一度説明したことを理解してないの!」
一度しか教わっていないマニュアルを、休日にたった一人でどうにか思い出しながら対応した結果がこれか、と思うと、悔しさより先に体が固まったのを覚えています。
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客がゼロでも、ノルマは1日5万円
お店は住宅街の中にあって、ターゲットは30代以上の落ち着いた客層でした。
平日の昼間はほとんどお客さんが来なくて、8時間の勤務中に来店ゼロという日も普通にあったんです。
正直にノートへ「本日、客数ゼロ」と書いたら、返ってきたのは「お客が入らないのはディスプレイのコーデが悪い」という一言でした。
その一方で課せられていたのは「1日5万は売り上げてね」という、平日昼の客足を考えたら明らかに不可能なノルマです。
あるとき、店長一人だけのシフトのときの来店数を確認してみたら、2人としか書かれていませんでした。
つまり、来店数そのものを水増ししていたということです。
売り上げが伸びない日が続くと、店長やオーナーからひたすら愚痴られました。
「こっちもタダで雇ってるんじゃないから」
そんな言葉を、ほぼ毎日のように浴びせられていたと思います。
今振り返れば、あれは立派なパワハラだったと言い切れます。
閉店後の残業は、当然のように無給だった
新商品が入荷すると、閉店後に段ボールを開けてハンガーへ掛け替える作業をさせられていました。
「この作業、営業中にはできないんですか」と聞いたことがあります。
返ってきたのは「この中で作業したら、お客さんに失礼だから」という理由でした。
もちろん、残業代が出たことは一度もありません。
量が多い日は、1時間以上残って作業することもざらでした。
バイト代は当時、手渡しで、契約書のようなものも見た記憶がありません。
今考えると、あれで本当に正しく雇用されていたのか、かなり疑問です。
唯一、忘年会だけはおいしいご飯をごちそうになりました。
でもそこでも「学生だったらこういうとこ来れないでしょ」「ありがたいと思ってね」と言われて、結局は会社の経費で自分たちも一緒に食べているだけなのに、と余計にイライラしたのを覚えています。
「アパレルは辞めたほうがいい」と言われて、やっと自由になった
ここまでのことがあって、私はアパレル業界で働くこと自体をやめようと決めました。
ちょうどそのころ、IT関係の仕事から内定をもらえたのも大きかったです。
辞めることを店長とオーナーに伝えたとき、返ってきたのはこんな言葉でした。
「売り上げもあげられないから向いてなかったかもね。アパレルは辞めたほうがいい」
最後の最後まで、見下すような言い方でした。
でも今は、あのブラックな職場に出会えて正直よかったとさえ思っています。
おかげでアパレルへの憧れをきっぱり断ち切れましたし、その後まっとうな企業に就職してからは、パワハラらしいパワハラを一度も受けたことがありません。
あの店がどれだけ異常だったか、辞めてから何年も経った今のほうがよく分かります。
関連記事:アパレル販売員はしんどい?月16万・洋服代自腹でも接客が好きになった話
アパレルの仕事に限界を感じている人へ
「向いてない」という言葉は、あなたを追い詰めた側が最後に使う便利な逃げ口上であることが多いです。
水増しされたノルマや無給の残業は、あなたの接客力の問題ではなく、その職場の仕組みの問題だったケースがほとんどです。
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