64歳から4年間、68歳の定年まで。
京都市内の公立中学校で「管理用務員」として働いた話です。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:60代男性(体験当時64歳〜68歳)
・業界・職種:公立中学校の管理用務員
・在籍期間:4年間
・当時の立場・役職:管理用務員(施設の維持管理・環境整備全般)
・退職状況:退職済み(68歳で定年退職)
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
手取り13万円、賞与なしで始まった用務員生活
64歳のとき、京都市内のある公立中学校で管理用務員の職に就きました。それから4年間、68歳で定年退職するまで勤めました。
収入は月給で手取り13万円ほど。年に2回の賞与が出るようになってからは、それを月割りにすると2万円ほどの上乗せになり、手取りで15万円ほどになりました。
ただ、この金額になったのは就職して2年が経ってから、制度が変わってからのことです。
それまでは賞与自体がなく、正直、結構厳しい収入状況でした。
朝の清掃から屋根の塗装まで、数えきれない仕事
作業内容は、まず朝の清掃から始まります。
校門周辺、中庭、職員室のゴミ集めと清掃。雨の日は生徒さんが滑らないように床のモップがけ。雪の日は校門から校舎までの通路の雪どけ。これが日常の作業でした。
京都の冬は底冷えします。生徒さんが登校してくる時間までに、通路の雪をどけておく必要がありました。夏は夏で、屋根の塗装や植木の手入れなど、日差しの中での作業が続きます。
その後は、机や椅子といった備品の修理。定期的な大型ゴミ収集の立ち合い。雑草除去。トイレの詰まり掃除。クモの巣除去。植木の選定。雑木の伐採。屋根の塗装。
一つひとつは地味な作業ですが、季節が変わるたびにやることも変わっていきます。数え切れないほどの業務内容がありました。
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自分で仕事を見つけて決められる自由と、生徒たちの元気な姿
よかったことは、ほとんどの作業を自分で探して決められるという自由度があったことです。
時折、管理職の先生から仕事の依頼もありました。やや大きな樹木の伐採や、イレギュラーな修理などです。
生徒さん達の元気な姿を見ながら仕事をできるという点も、楽しみの一つでした。校内を一人で黙々と作業して回る日々の中で、そうした景色に触れられることが、ちょっとした励みになっていたように思います。
嫌な事は、ほとんどなかったと思います。
特にブラックなところもなかったと思います。
オーバーペースの疲れと、健診・気遣いのありがたさ
ただ、自分のペースがオーバーペースになったりして、結構疲れたこともありました。
やったことのない修理を頼まれたりして、自分にできるか不安なこともありました。
健康面についてのケアも、定期的な健康診断を先生方と共に受診できたりと、安心して仕事に打ち込めました。
また、高齢者ということもあり、特に夏の高温時期などは、管理職の先生方にかなり気を遣って頂いたことも嬉しかったことの一つです。
68歳で定年退職。その後選んだのは、利益を追わない仕事だった
64歳で用務員職に就き、68歳で定年退職しました。
その後の仕事はいくつか経験しましたが、やはり利益を追及しない公務に就きました。
自分には、利益追求をするような企業は向いていないと思ったからです。
人間関係についても、コンプライアンスやストレスチェックなどがかなり事細かく整備されているので、安心して仕事に集中できました。
誰も教えてくれない修理を、自分で工夫する中で得た財産
学校の中の備品などの修理については、誰も教えてくれないので、自分で工夫するしかありませんでした。
でも、そのことが次の仕事においても、自分自身で考えて修理したり、新たなものを作ったりする癖につながって、用務員時代の仕事が役に立ったのかと思います。
自分で工夫して修理をこなしたりするのが好きな人や、積極的に学校の美化などを考えられるような人が、この仕事には向いていると思います。
人間関係も休暇制度も、安心して働ける環境だった
気の合う先生がほとんどでしたが、中にはあまり合わない感じの方もおられました。
ただ、あまり長い時間一緒にいることもなかったのと、人数が多かったので、ほとんどストレスがなく仕事に打ち込めました。
その他のメリットとしては、有給休暇がかなり、年間20日ほどあったのと、夏と冬に休暇があったことです。
コロナにかかって長期休暇したこともありましたが、解雇には至らず、安心して病気治療ができたことも有難かったです。一般企業では、解雇される可能性が高かったと思います。
そのような困った状況でも、相談にのって頂ける管理職の先生がおられた環境も、心強いものがありました。
また、管理職の先生の他にも、若い先生方が授業や部活動において、生徒さん方への良い意味での熱い関わり方などを見させて頂いたりした時は、青春ドラマのシーンを思い出したり、自分の学生時代を回想したりして、楽しい一時を過ごさせて頂いたこともよかったかと思います。
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学校という場所が教えてくれた、感謝の気持ち
自分の気持ちの中に、誰かの役に立てているのだという直接的な感情が沸いてきて、その事で仕事に対する積極的な姿勢が保てたという事もあったのは事実でした。
普段の生活の中では、なかなか味わうことができないような実感を体験できた、という点においては、学校という特殊な環境がもたらしてくれるメリットであったと思います。
自分の人生の中で、特に自分が学生の時に、自分を取り巻く多くの人達が、見えないところで思いを寄せてくれていたのだということを、恥ずかしながら、大人になってやっとわかりました。
そのことが、先生だけでなく両親を始め、自分を取り巻くすべての人々が、そういう思いを持って接していてくれていたのだと。
人生の折り返し点をかなり過ぎた今頃になって、このようなことがわかったの?と言われればそれまでですが、学校という場で仕事をさせてもらって初めてわかったことがあっただけでも、自分の成長だったような気がします。
この点について、学校用務員という仕事を経験させて頂いたことは、自分にとって遅まきながら、大きな収穫であったと思います。
一般企業においても、また日常生活においても、自分が気がつかなかっただけで、この世の中のすべてのことに感謝の思いを持って過ごせるようになった仕事でした。
そういう意味では、比較的低い給与水準ではありましたが、大きな収穫を得たという意味で、改めて良い仕事だったと思います。
定年後の仕事選びに迷っている人へ
「清掃も修理も自分の裁量で回せる」「利益を追わない仕事だからこそ、人間関係にも安心できる土台があった」——この2つが揃ったことが、64歳からの4年間を落ち着いて勤め上げられた理由だったように思います。定年後の仕事選びでは、金額だけでなく、どれだけ自分のペースで動けるか、どんな安全網のある職場かも、案外大事な物差しになりそうです。
困った時の選択肢
そのほか、状況に合わせて相談できる窓口もあります。
公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。
定年後の働き方について書かれた本が気になったら、まずは無料で試してみるのも一つの方法です。
・読んでみる → Kindle Unlimited(30日間無料体験)
・聴いてみる → Audible(30日間無料体験)
体を動かす仕事を続けたあとは、じんわり疲れが残るもの。一日の終わりに、ゆっくり湯船で温まる入浴剤を使っている人もいます。

