走り回る子、友だちに手を出してしまう子。そんな子が何人も重なったクラスを受け持った年、私は一人ではどうにもならず、気持ちがすり減っていきました。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:20代〜30代女性
・業界・職種:保育士(私立保育園→市立の公立保育園)
・在籍期間:私立2年+公立5年=計7年
・当時の立場・役職:クラス担任の保育士
・退職状況:退職済み
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
受け持つクラスで、気持ちがすり減っていった
受け持つクラスによって、大変さには大きな差が出ます。話を聞かずに走り回ったり、友だちに手を出してしまう子が多いクラスを受け持った年は、私一人ではどうにもならず、気持ちがすり減っていきました。
当時の園長先生に相談すると、ときどきクラスに手伝いに来てくれるようになりました。一人じゃないと思えるだけで気持ちがずいぶん楽になりましたし、ベテラン保育士の先生がどう子どもに声をかけ、どう動くのかを間近で学べたことが、クラスをまとめていく力になりました。
発達障害やその疑いのある子に、保育士ができること
発達障害やその疑いのある子どもは、10人に1人以上いるとも言われています。けれど保育士は医者でも臨床心理士でもないので、特性のある子どもに専門的にできることは、そう多くありません。
それでも何かできることを増やしたくて、発達障害の子どもを支援するセミナーに参加したり、医療機関でのリハビリの実習に足を運んだりして、自分の引き出しを少しずつ増やしていきました。
家庭環境も国籍もさまざまな子どもたち
発達障害の有無に関わらず、気になる子どもはどのクラスにも複数いました。家庭環境が不安定な子、外国籍の子。一人ひとりが安心して自分を出せるようにするには、その子に合った対応が必要で、個と全体のバランスをとることに毎日苦戦していました。
子どもも保護者も十人十色で、何年やったからといって、次の年が前の年よりうまくいく保証はありません。それでも対応の引き出しを増やしていくと、自分が少しずつ成長していることを、子どもが鏡のように映し出してくれるのだと思います。
それでも辞めなかったのは、子どもの成長に立ち会えたから
もともと子どもが好きで、毎日子どもたちに囲まれて働けることは、それだけで幸せでした。
入園したときはまだ歩けず、ミルクを飲んで毎日泣いてばかりだった子が、歩いて言葉を話すようになる。その成長のスピードには、何度見ても驚かされます。足にたくさん豆を作って、涙をにじませながら何度も竹馬に挑戦し、ようやく乗れたときのあの顔。子どもの姿に、こちらが感動させられ、勇気づけられることのほうが多かった気がします。
保護者と一緒に悩んだ時間と、多様化する保護者対応
保護者から子どもの成長について相談を受け、これからどうしていくか一緒に考えることもよくありました。保育園と家庭で連携して一人の子を支えていくのは、とても神経を使う仕事です。
それでも子どもが少しずつ成長し、保護者から感謝の言葉をもらえたときは、一緒にたくさん悩んで時間をかけた甲斐があったと、大きな達成感がありました。
核家族化が進み、地域とのつながりも減って、子育ての悩みを一人で抱える保護者が増えています。そのぶん、保護者への対応も以前よりずっと幅が広くなっていると感じました。
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子どもと遊ぶことが、私自身を元気にしてくれた
大人になると、思い切り走ったり、大きな声でみんなで歌ったりする機会は、生活の中からほとんどなくなります。保育士として毎日子どもたちと全力で遊びこむことは、自分自身の体と心の健康にもつながっていました。これは、ほかの仕事ではなかなかできないことだと思います。
給食が、肉体的にきつい毎日の元気の源だった
保育園の給食は栄養バランスがしっかり取れていて、それも働くうえでありがたいことのひとつでした。自分ではなかなか作らない手間のかかるメニューや、季節の野菜・地元の文化を取り入れたメニューを、調理の先生が日々作ってくれます。体力的にきつい仕事のなかで、給食はまさに元気の源でした。教えてもらったメニューを、自分の家での料理のレパートリーにできたのもうれしかったです。
私立保育園と公立保育園、両方勤めてわかった違い
私が最初に勤めた私立保育園は、人事異動がほとんどありませんでした。
そのぶん、ベテランの保育士が園のことを隅々まで知っていて、子どものわずかな変化にもすぐ気づく。安全な保育ができている点はとても良かったです。
ただ、新卒の入職と退職以外はメンバーが変わらないので、保育がパターン化しやすく、ほかの園に対して少し閉じている印象もありました。体操・製作・自由遊びと決まった流れの生活で、地域の小学校に上がったときに、ほかの園の子と馴染めるか、小学校で重視されるアクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)についていけるか、心配になることもありました。
次に勤めた市立の保育園は、市内に10ヵ所以上の園があり、保育士は定期的に異動する仕組みでした。
保育士が異動することで、それぞれの園のやり方が市全体で見えるようになり、問題の早期発見や解決につながっている点が良いと思いました。一方で、慣れて愛着のある職場を離れるのは寂しく不安ですし、異動のたびに新しい子どもや保護者の状況を一から把握し直すので、一時的とはいえ負担は大きかったです。
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家に持ち帰る仕事のこと
日中はほとんどの時間を子どもと過ごすので、劇の衣装や、季節ごとの壁面の装飾は、家に持ち帰って自分の時間で作ることになります。
仕事だけでもくたくたなので、うとうとしながら家で衣装にミシンをかけていたこともありました。私はもともと裁縫や製作が好きでしたし、作業を母が手伝ってくれたのでだいぶ楽になりましたが、裁縫や製作が苦手な人や、一人暮らしの人にとっては、なかなかつらい作業かもしれません。
編集部より
この体験談の価値は、私立と公立の両方を内側から見た比較にあります。人事異動のない私立は、ベテランが園を隅々まで把握して子どもの変化に気づける安定がある反面、保育がパターン化して外に閉じやすい。定期異動のある公立は、市全体でやり方が見える代わりに、異動のたびに子どもと保護者を一から把握し直す負担があります。同じ「保育園」でも運営のしかたで働き方の感触は変わり、さらに受け持つクラス次第で負担が大きく振れることや、製作物の持ち帰りが前提になっていることは、多くの保育士に共通する現実です。
気持ちがすり減るほどのクラスを受け持って苦しむのも、保護者対応に神経をすり減らすのも、あなたの力不足ではなく、保育という仕事そのものが抱える重さです。一人で抱え込まず、園長や同僚に「手伝ってほしい」と言えること自体が、立派な対処です。それでも合わないと感じるなら、園を変えるという選択肢も含めて、自分に合う働き方を探していいはずです。
困った時の選択肢
【今の園が合わないと感じている方へ】
受け持つクラスや園の雰囲気、持ち帰りの量は、園によって本当に大きく変わります。今の園が合わないと感じるなら、保育士を辞めるのではなく、別の園に移るという選択肢もあります。保育士専門の求人サービスほいく畑(対応エリアは20都道府県)なら、資格を活かして条件の合う園を探せます。まずはお住まいの地域が対応エリアか、確認してみてください。
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
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・気持ちがすり減っていると感じる方は、抱え込む前に自分の状態を整理するセルフケアから → 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)
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