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電気設計エンジニア30年目、ホワイト企業だったはずの会社が不正会計で崩れていった話

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せっかく抜け出したブラック企業の代わりに拾ってもらった会社は、天国みたいなホワイト企業だった。手取りは倍以上、残業は半分、仲間にも恵まれた。それなのに――15年後、そのホワイト企業は静かに、でも確実にブラックへと姿を変えていった。

これは、そんな「ホワイトから来た豹変」の話です。

📌 体験者プロフィール

性別:男性

職種:電気機器メーカーの開発設計エンジニア(大学は電気工学科電気電子専攻・新卒から一貫して同じ職種)

雇用形態:正社員(現職継続中)

転職歴:新卒で入社した電機メーカー(1社目・ブラック企業)を10年で退職→32歳で大手電機グループ企業(2社目)へ転職、以来ずっと同じ会社に勤務

勤続年数:現在の会社で約25年

年収の推移:1社目(ブラック期)は約300万円→2社目(ホワイト期)は約600万〜1000万円まで上昇、現在は「低賃金」とだけ表現される水準に逆戻り

① 10倍の会社に拾われた

新卒で入った会社が、いわゆるブラック企業だった話は前にも書いた。

毎月100時間ものサービス残業が当たり前で、それでも手取りは20万そこそこ。そこを10年で抜け出して転職したのが、今回の話の会社だ。

転職先は、同じ電気機器製造業の設計開発。ただし会社の規模がまるで違った。

前の会社は社員約500人、売り上げ約200億円。転職後の会社は社員約5000人、売り上げ約2000億円。ざっと10倍の規模になった。しかも当時すっかり落ちぶれてしまった今とは違い、その頃はまだ業界をリードする大手電機グループ企業だった。

正直、運が良かったとしか言いようがない。

年収は約300万円から600万円へとほぼ倍になり、毎月100時間あったサービス残業は50時間に半減した。何もかもが改善して、転職して本当に良かったと思ったし、同時にこれは幸運なんだと感じていた。

関連記事:電機メーカー開発設計10年で退職|月100時間サービス残業と手取り20万のブラック企業

② 手取りは倍に、残業は半分に――数字で見る「ホワイト」の中身

前の会社では、毎月の手取りが約20万円、夏と年末の賞与が各30万円で、年収は合計しても概ね300万円だった。

新卒からの10年間、給与はほとんど上がらなかった。正直に言えば、あの会社は地獄だった。

それが転職後は一変する。

毎月の手取りは40万円以上。賞与は夏と年末に各100万円以上。年間の収入は約600万〜1000万円まで大幅に改善して、人生が天国になった。

残業は、前職ではサービスで毎月100時間程度あったのが、そもそも「サービス残業」自体が違法なので当然なくなり、毎月50時間程度に半減。しかもその分の残業代はきちんと支払われた。

ホワイトとブラックの一番大きな違いは、結局のところ給与が良いか悪いかだけだと言っても過言ではないと思っている。ホワイトは給与が良くて、サービス残業がない。ただそれだけのことだ。

③ 毎月40万、賞与は年200万――15年続いた「天国」みたいな日々

業務内容は、電気機器製造業の開発設計。大学が電気工学科電気電子専攻だったこともあり、前職でも転職後でも、ずっと同じ電気機器の開発・設計に携わってきた。

定年が見えてきた今になっても同じ仕事を続けられていることは、自分の会社員人生の中でいちばん幸運だったことだと思っている。電機の設計開発一筋で働き続けられる人は、実はそう多くない。

転職後の会社には、当時得意分野だった省エネ技術があって、業界をリードしていた。会社にも余裕があったから、福利厚生も色々あったし、社内のお祭りイベントもあった。「これが大企業の凄さか」と、転職した当時は素直に感動したものだ。

その後、良縁にも恵まれて、家族も増えた。もし最初のブラック企業のままだったら、たぶん一生独身だったと思う。

このホワイトな状態は、その後およそ15年間続いた。転職した直後は雲泥の差だと思っていた前後の労働環境も、この15年の間はずっとそのままだった。

④ 有名企業の不正会計が、静かにすべてを壊していった

そのホワイト企業が、最終的にブラック企業へと変貌していく。そのブラック企業への道のりを、今回は紹介したい。

きっかけは、業界でも有名な会社の不正会計、いわゆる粉飾決算だった。それが原因で給与が出なくなり、最後には会社が売却された。まさに万事休すだった。

経営者次第で、天国から地獄に落ちることがあるのだと、身をもって知った。

思えば自分の会社員人生は、新卒で入った会社に10年勤めて退職し、32歳で今の会社に転職してから、最初の15年間はホワイト企業だった。それが20年ほど経ったところで、転職前の会社とほとんど同じような結末を迎えることになった。これも、悲しい現実のひとつだ。

⑤ 今も続いている「地獄」――いつ切られるか分からないまま

その地獄は、今も続いている。

いつクビになるか分からないまま、低賃金でじっと耐えて働いているのが、今の自分だ。

あれほど雲泥の差だと思っていた転職前後の労働環境は、時間が経つにつれて少しずつ、あの最初の会社のような状態に近づいていった。そして20年後、最終的には似たような結末を迎えることになった。

それでも人間関係については、日本にいる限り、同じ会社に長くいたほうが確実にいいと感じている。付き合いの長さがそのまま安心につながる場面は、今の状況でも変わらずある。

⑥ 業界に入る人へ、これだけは言っておきたい

最後に、一言だけ伝えたい。

国内の電機業界は、正直もう終わっていると思う。入らない方が賢明だ。

もしどうしてもやりたいことがあって、それでも電機企業に入りたいという人がいるなら、覚悟だけはしておいてほしい。電機メーカーという業界は、永遠にリストラを続ける業界だと思っている。

もっとも、それも前向きに捉えれば社会経験にはなるし、勉強にもなるとは思う。

最初のブラック企業から、憧れのホワイト企業へ。そしてまたブラックへ――。自分のこの転職体験が、これから会社を選ぶ誰かの判断材料に少しでもなればと思う。

大手企業だから安心、とは言い切れないと感じている人へ

新卒で入った会社がブラックで、転職先がホワイトで、そこがまた変わってしまう――この話が刺さるのは、「会社の規模」や「今の待遇の良さ」がこの先もずっと続く保証にはならないという事実を、身をもって体験しているからだと思う。

10倍の規模の会社に転職しても、20年という時間の中では、経営者や会社の判断ひとつで状況は一変する。

今の会社がホワイトに見えていても、その安心感がいつまで続くか分からないと感じているなら、まずは自分の市場価値や次の選択肢を、今のうちから知っておくだけでも意味があるはずだ。

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もっと自分の会社の状況や労働問題について詳しく知りたい人には、当事者の実体験がまとまった本を読んでみることもすすめたい。

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長年、納期とストレスに追われながら机に向かってきた人の体を、少しでもいたわる時間があってもいいはずだ。

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