先方の社長にさんざん怒鳴られて、心が半分折れたまま会社に戻った日のこと。
上司に相談したら、真顔でこう言われました。
「女性であることを売りにしろ」
フォローは、それで終わり。
これは、営業とエンジニアを5年間兼務して走り続けた、アラサー女の話です。
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:30代女性(体験当時アラサー)
・業界・職種:ルート営業兼カスタマイズエンジニア(積算・顧客管理ソフトの提案+保守)
・雇用形態:正社員
・企業規模:大企業(従業員1000人以上)
・在籍期間:約5年
・当時の月収:基本給25万円前後
・退職状況:退職済み
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
「営業兼エンジニア」って、肩書きだけは花形なんですよ
ルート営業とエンジニア職の兼務。
名刺の肩書きだけ見れば、ちょっとかっこいい。実際、社内でも「花形」みたいな扱いでした。
でも中身は、古い社用車に機材を積んで、県内をひたすら大移動する毎日です。
直行直帰の日がほとんどで、朝から晩まで運転して、合間に客先を回る。
運転そのものもしんどいんですけど、それ以上にきつかったのが、訪問先の空気でした。
どこへ行っても気を張りっぱなしで、車を降りる前に一回深呼吸しないと入れない日もありましたね。
関連記事:セールスエンジニアがきつい理由|40代・年収700万でも板挟みとトラブル対応に追われた話
ソフトを売って、その場で「作り替えろ」と言われる仕事
私が担当していたのは、主に建設業界への売り込みでした。
積算ソフトとか顧客管理ソフトとか、そういうのを提案していくんですけど、ただ売るだけじゃ終わらない。
会社によって要望がぜんぶ違うので、「うちのやり方はこうだから、ここをこう変えろ」と言われたら、その場で仕様を作り替えなきゃいけない。
単に売り上げるんじゃなくて、相手の希望通りにカスタマイズして納める。それがエンジニア兼務の意味でした。
だから商談中も、営業トークで愛想笑いを浮かべながら、頭の中ではコードを組み立ててるんですよ。
「この要望、実装できるか」「ここをいじったら、どこが壊れるか」を同時に回す。
もう、脳みそパンパンでした。
建設業界の社長は、妥協というものを知らなかった
建設業界って、当時はそれなりに潤ってたんです。
ただ、お金があるぶん気が大きいのか、希望通りにならないと容赦なくブチ切れる経営者が、本当に多かった。
「独自の組み替えができないなら、報酬は払わない」
平気でそう言ってくるんですよ。
こっちは必死に対応してるのに、ちょっとでも要望とズレると怒鳴られる。
妥協してくれる人なんてほとんどいなくて、私はいつも、車を降りた瞬間から胃のあたりが緊張してました。
怒鳴られて相談した私に、上司は「女を武器にしろ」と言った
一番こたえたのは、客の理不尽そのものより、それを会社に持ち帰ったときの反応でした。
社長に怒鳴られて、さすがにこれはおかしいと思って、上司に相談したんです。
返ってきたのは、これでした。
「先方の社長に怒鳴られても、なんとかやれ」
「女性であることを売りにしろ」
真顔で。
ほかにも、ことあるごとに言われてました。
「女性の営業は珍しがられる。キャラを気に入ってもらえたら売れる」
「男性と同じ給与形態なんだから、同じくらい体力も気力も使え」
「女であることを武器にして、先方に取り入ればいい」
媚びを売れ、と。指導の中身が、ずっとそれなんですよ。
怒鳴られたことへのフォローは、一切なし。
さすがにそのとき、「あ、この会社、終わってるな」と思いました。
保守のエンジニアは「別会社」、助けてと言っても冷たかった
社内の人間関係も、なかなかでした。
エンジニアにも種類があって、保守専属の人たちは、なぜか別会社の所属ということになってたんです。
子会社みたいな扱いで、給与形態も違う。当然、営業兼務の私たちとは仲が悪い。
現場で困って「ここ、どうなってますか」と連絡しても、返ってくるのは「それはお前らの仕事だろ」。
助け合おうなんて雰囲気は、皆無でした。
そのうえ組織改変と配置換えが頻繁にあって、人の配置がコロコロ変わる。
その変化についていくだけでも、地味に消耗するんですよね。
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兵庫県全域、終わりの見えない運転
限界をはっきり感じたのは、移動の問題でした。
担当エリアが兵庫県全域。とにかく広い。しかも運転マナーがいいとは言えない地域で、ハンドルを握ってるだけで神経がすり減る。
車には客先で使う機材を積んでるから、ぶつけられないように気も使う。
渋滞もあって、移動時間がまったく読めない。
そうなると、帰宅時間も予測できないんです。
「今日は何時に終わるか」が毎日わからないから、退勤後の予定なんて立てようがない。
プライベートは、完全に崩壊してました。
体力も気力も底をついて、辞めました
辞めた理由は、シンプルに体力的な限界と、顧客対応のストレスです。
特に建設業界は、とにかく口が悪い。毎日のように怒鳴られて、緊張しっぱなしで、すり減っていく一方でした。
社内にも、味方と呼べる人がいなかった。
女性のエンジニアなんて、そもそも少なくて。男性の営業担当とも、エンジニア専属の人たちとも、どこか折り合いが悪い。
営業の数字も追いながら、頭ではコードを組んで、広い県内を運転して、怒鳴られる。
これを一生続けるのは、どう考えても無理でした。
引っ越して、兵庫県とさよならした
退職を機に、思い切って引っ越しました。
兵庫県とも、あの社用車とも、怒鳴る社長たちとも、まとめておさらばです。
今はまったく違う環境に住んでいて、夜になったら、ちゃんと眠れる。
当たり前のことなんですけど、その当たり前が、どれだけありがたいか。いま、噛みしめてます。
スッキリした、という言葉がいちばん近いですね。
それでも、得たものはちゃんとあった
悪いことばかり書きましたけど、いい面がなかったわけじゃないんです。
まず、大手だったので社会的な信用はありました。こういう肩書きが効く場面は、たしかにある。
あと、社内試験がやたら多かったんですよ。これがしんどい一方で、最新のスキルを強制的に身につけさせられた。
「営業兼エンジニア」という珍しい経歴も、その後のキャリアでは意外と重宝されました。
いい面は、社会的信用とスキル。悪い面は、それ以外のぜんぶ(笑)。
そんな感じの、5年間でした。
これからIT業界を目指す人へ
正直に言うと、私がいたような「営業兼エンジニア」は、あまりおすすめしません。
肩書きはかっこいいんですけど、2倍の責任を背負わされて、理不尽なことのほうが多い。
女性には、特にきついと思います。
ただ、得たスキルや珍しい経歴が後で活きたのも事実なので、全否定はしません。
もしいま、同じように営業とエンジニアの板挟みで脳がパンパンになっている人がいるなら、それは能力の問題じゃなくて、構造そのものが二人分の負担を一人に乗せているだけなのかもしれません。
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営業とエンジニアの板挟みで消耗している人へ
このケースでいちばん効いていたのは、「営業の数字」と「客先仕様への作り替え」という、本来は別々の職種の責任を、一人で同時に背負わされていたことだと思います。
そこに客の理不尽と「女を売りにしろ」という指導が重なれば、すり減らないほうがおかしい。
これはあなたの根性が足りないのではなく、役割の設計のほうが壊れている、という見方もできます。
抱え込んで潰れてしまう前に、外の選択肢を一度のぞいてみてください。
困った時の選択肢
【ITと営業、両方の経験を次に活かしたい方へ】
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
・毎日怒鳴られて、辞めたいけど言い出せない…という方は
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公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。
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長距離の社用車移動が続くと、腰や背中に疲れがたまってくる。少しでもその負担を逃したくて、運転席用のクッションを使っている人もいます。

