鼻が曲がりそうになる、とはこういうことなんだと思いました。
レーズンパンのラインに回された日のことは、今でもはっきり覚えています。
これは、有名なパン工場で高校生から大学生まで単発バイトを続けた、私の話です。
📌 体験者プロフィール
・業界・職種:食品工場(パンの製造ライン作業)
・雇用形態:アルバイト(単発・日払い中心)
・在籍期間:高校生から大学生にかけて、通算30日以上(学校が休みの日に不定期で勤務)
・当時の立場:製造ラインの担当工程(配属は日によって変動)
・企業規模:大企業(国内トップクラスのパン工場)
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
有名パン工場のライン作業、任されたのはこんな仕事でした
高校生でもすぐ雇ってもらえる、というのが最初の決め手でした。しかも予定のない日に友達を誘って一緒に入れるのが大きくて。高校生のバイトって居酒屋のホールとかキッチンが定番だと思うんですけど、それよりも日当で給料が出るのが正直ありがたかったです。
働いていたのは、日本でも1、2を争うくらい名前の知られたパン工場です。作っているパンの種類がとにかく多くて、時間帯ごとに何を作るか変わっていました。バイトはラインの一箇所を割り当てられて、その日決められた分ができるまでひたすら同じ作業を繰り返すだけ。難しい工程は正社員の人がやるので、バイト側はどちらかというと眠気との戦いに近かったです。
今でも覚えているのが、パン生地をこねるミキサーに小麦粉を投入するだけの持ち場です。動くのは数分に1回くらいで、あとはずっと待ってるだけ。その間、正社員の人たちが忙しそうに動き回っているのを見て、ちょっとうらやましくなったりもしていました。
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休憩室にずらっと並んだパン、これが最大の役得でした
パン工場で働くなら一番うれしいのは、やっぱり作りたてのパンが食べ放題な点だと思います。休憩時間にへとへとになって休憩室に行くと、壁一面くらいにいろんな種類のパンがずらっと並んでいるんです。
コンビニで普段から好んで買っているようなパンもあって、食べ盛りの高校生だったので食費が浮くのは本当にありがたかったです。種類も豊富だから、毎日入っていても飽きが来ないんですよね。正社員の人たちが毎日おいしいパンを食べられるのは、素直に最大のメリットだなと感じていました。
もちろん総菜パンからデザート系のパンまで一通りあって、包装もちゃんとされています。私自身、いろんなラインを担当していたので、自分が製造に関わったパンを後から食べられるのもちょっとした喜びでした。
着替えと消毒、そして体にしみついて離れない匂い
普通にバイトする分には十分満足のいく内容だったんですけど、毎回ちょっと面倒に感じていたことがあります。食品を扱う内部に入るので当然ではあるんですが、全身白衣に着替えて髪もまとめて、消毒までしないといけないんです。
朝は着替えのために早めに行かないといけないし、休憩のたびにも時間を取られるのが正直嫌でした。慣れれば日課になるんですけど、カフェやレストランの制服くらいのレベルじゃなくて、腕回りや足回りまでカバーするので余計に大変で。
あと地味にきつかったのが、どうしても匂いが体についてしまうことです。パンやお総菜の匂いなので不快なものではないんですけど、全身からパンの香りを漂わせたまま帰路につくのは、なんだか不思議な気分でした。帰りは疲れてしまって遊びに行く元気もなかったので、シャワーとかお風呂を浴びて帰れる設備があればいいのになと本当に思っていました。
それでも噂通りきつい部分があるのは確かなんですけど、高校生や大学生のバイトとしてなら、ちょっとした社会見学を兼ねた経験を積めますし、体制もしっかりしているので、私はけっこうおすすめだと思っています。自分の子どもがこのバイトをするって言っても、安心して送り出せる気がします。
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一度だけ、もう二度とやりたくないと思ったレーズンパンの日
通算で30日以上はバイトに入っていましたし、お給料にも納得はしていたんですけど、一度だけ「もう二度とやりたくない」と思ったことがあります。それが、匂いの強い食品を扱う持ち場でした。
具体的に言ってしまうと、レーズンパンです。レーズンを仕分けたり、パンに乗せる工程を見守ったりするだけの単純な仕事なんですけど、とにかく鼻が曲がりそうになるんですよね。私の場合は単発で入っていたので毎回持ち場が変わって、なんとか耐えられていたんですけど、正社員で働いている人はずっと同じ持ち場のはずで。どうやって対処しているのか、それとも慣れてしまうものなのか、今でも不思議に思っています。
それからしばらくは、バイトには入りたいけど、またレーズンのラインに回されたらどうしようって不安で仕方なくて、なかなかシフトを入れられなかったのを覚えています。
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クリスマス商戦の苺のヘタ取りが、一番楽しかった思い出です
そんなきつい部分もある中で、楽しいこともありました。それがクリスマス商戦の時期です。私はそのとき苺のヘタ取りを担当させてもらいました。
機械で行う工程も多いんですけど、苺をあれだけ大量に扱うのはクリスマスの時期くらいだからだと思います。内職みたいな手作業だったんですけど、普段はほとんど話すことのない正社員の方たちとテーブルを囲んで、わいわい楽しく作業できたのが新鮮でした。いつもと違う工程で、しかも楽しいイメージのクリスマスケーキに関わっているというのもあって、やりがいもあって、毎日苺のヘタ取りをしていたいと思うくらいでした。
この時期は特に人手が必要になるみたいで、パン工場でも大量にバイトの募集がかかっていました。興味がある人は、この時期だけ狙って働いてみるのもありだと思います。
食品工場のバイトを検討している人へ
パン工場のバイトは、単純作業の連続と匂い・衛生ルールという地味な負担がある一方で、出来立てが食べ放題という役得や、繁忙期だけの特別な手作業に関われる面白さもあります。単発・短期で試せる仕事だからこそ、まずは自分に合うかどうかを実際に経験してみるのが一番だと思います。
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パンや食品の匂いで疲れて帰った日は、香りのいい入浴剤でリセットしている人もいるようです。

