「これからもっともっと怒られるよ。褒められることなんて絶対にないよ」
一緒に働いていたパートさんにそう言われた瞬間、頭の中で何かがぷつんと切れました。
これは、個人経営のうどん屋さんでパートをしていた、私の話です。
- 📌 体験者プロフィール
- 「パート募集中」の電光掲示板と、優しそうな大将の第一印象
- 8時50分から始まる、気が遠くなるような下ごしらえ
- 9時から2時のはずが、いつも3時半になる帰り道
- 賄いもボーナスも出ない、最初の話と違う待遇
- 大将だけじゃない、奥さんからも飛んでくる「あほ、たわけ」
- 辞めたいと言えなかった、もう一人のパートさん
- 「これからもっと怒られるよ」その一言で決まった退職
- 電話口の怒鳴り声と、「私、押印していません」の一言
- 一番忙しい12時に、わざと給料を取りに行った日
- 個人経営・家族経営の店には応募するな、という教訓
- 今の官公庁の事務は天国、あの経験があったから気づけたこと
- 個人経営の小さなお店でパートをしている人へ
📌 体験者プロフィール
・年代・性別:40代女性(体験当時28歳)
・業界・職種:個人経営のうどん屋・パート(厨房の仕込み・片付け中心)
・雇用形態:パート・アルバイト
・企業規模:個人経営
・在籍期間:3か月
・退職状況:退職済み
・体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
「パート募集中」の電光掲示板と、優しそうな大将の第一印象
近所に、水がきれいだと言われる中部地方の街で個人経営をしているうどん屋さんがありました。
いつ通りかかっても、店先の電光掲示板には「パート募集中!」の文字が出ていました。今思えば、これが最初のサインだったのかもしれません。
でも当時の私はそんなことに気づくはずもなく、家から近くて自転車で通えるし、賄いももらえるし、料理も好きだから“ぴったりだ”としか思っていませんでした。履歴書を持って、直接店に行きました。
出てきたのは、優しそうな大将でした。
「あぁ、主婦の人ね!丁寧に教えるから明日からきてよ。大丈夫大丈夫!」
にこにこしながらそう言われて、私はすっかり安心してしまいました。ただ、奥にちらっと見えた奥さんが、なんとなく怖そうな顔をしていたのが、ほんの少しだけ引っかかっていました。
8時50分から始まる、気が遠くなるような下ごしらえ
勤務時間は9時から2時まで、という約束でした。
でも実際は、8時50分頃には店に着いて準備を始めなければなりません。
掃き掃除、米の準備、小鉢の準備、キャベツの千切り、お茶作り、出汁作り、肉の衣付け。開店前だけでこれだけの作業があり、正直なところ覚えるだけで精一杯でした。
料理が好きだから、という気持ちで始めたはずなのに、開店前の時点ですでに息切れしていたのを覚えています。
9時から2時のはずが、いつも3時半になる帰り道
一番きつかったのは、勤務時間の約束がまったく守られなかったことです。
9時から2時までのはずなのに、ありえない量の片付けや掃除、雑務を次々に申しつけられ、帰りはいつも3時半になっていました。
保育園のお迎えに間に合うかどうか、いつもギリギリの時間で、自転車をこぎながら心臓がバクバクしていたのを思い出します。
しかも、時間内に終わらせられないと「できないのはお前が悪い」と怒鳴られるだけで、もちろん残業代など出たことは一度もありません。
関連記事:飲食店のキッチンパートを3ヶ月で辞めた|妊娠を伝えたら「やめてほしい」と言われた話
賄いもボーナスも出ない、最初の話と違う待遇
時給は800円でした。ボーナスや手当のたぐいは一切ありません。
賄いをもらえる、というのも応募の決め手のひとつだったはずなのに、実際に働き始めてみると、その約束すらまともに果たされませんでした。
学歴は一応、大卒です。でも結婚を機に正社員の仕事は辞めていましたし、子育てをしながら働ける仕事は、そう多くは選べません。だからこそ、多少のことは我慢するつもりで始めた仕事でした。
大将だけじゃない、奥さんからも飛んでくる「あほ、たわけ」
つらかったのは、怒鳴るのが大将だけではなかったことです。
奥さんからも、容赦なくいじめのような扱いを受けました。
「大学卒なんて雇うから、こんなことになるんだ」
そう吐き捨てられたこともあります。「あほ!」「たわけ!」という罵声も、日常茶飯事でした。最初に見たあの怖そうな顔は、勘違いでも何でもなかったのだと、働くうちに嫌というほど分かっていきました。
辞めたいと言えなかった、もう一人のパートさん
良かったことは、正直あまりありません。
強いて言うなら、個人でやっている飲食店の、家族経営のところには絶対に応募してはいけないと学べたことくらいです。
唯一楽しかったのは、同じ時間帯に入っていたパートさんと、こっそり愚痴を言い合えたことでした。
でも彼女は、私よりずっと前からこの店にいて、辞めたいと大将に伝えるたびに怒鳴られ、怖くて言い出せないまま、ずるずるとこの職場に居続けている人でした。
関連記事:個人経営の寿司屋バイトを辞めた話|店長に気に入られてから、いじめの標的にされた1年
「これからもっと怒られるよ」その一言で決まった退職
辞めようと決めたのは、そのパートさんとの、何気ない立ち話がきっかけでした。
「いつになったら怒られなくなりますかね。悲しくて、泣けてきます」
そう漏らした私に、彼女はこう返しました。
「これからもっともっと怒られるよ。褒められることなんて絶対にないよ」
その言葉を聞いた瞬間、このままここにいたら本当に死んじゃう、と思いました。理屈ではなく、体の奥のほうでそう感じたんです。
その日の夕方、私は店に電話をかけました。
電話口の怒鳴り声と、「私、押印していません」の一言
受話器を持つ手が、少し震えていました。それでも、もう後には引けないと思っていました。
「辞めさせてください」と伝えた瞬間、電話越しの大将の声が一気に荒くなりました。
「契約書に、辞める1ヶ月前に言わなければダメだって書いてあるだろーー!!」
怒鳴り声の向こうで、店の水音や誰かの足音まで聞こえてくるような気がしました。でも私は、その契約書に押印した覚えがありませんでした。
「私、その書類に押印していません!やめれます!」
声が裏返りそうになりながらも、必死にそう言い返しました。一瞬、電話の向こうが静かになりました。それでも大将は、吐き捨てるように続けました。
「だから大卒は嫌なんだよ!お前勝手に辞めるんだから、時給は最低限だと思っておけよ!来週取りに来い!」
言い返す隙も与えられないまま、電話は一方的に切られました。ツーツーという音だけが残った受話器を、しばらく耳から離せませんでした。
一番忙しい12時に、わざと給料を取りに行った日
他のバイトさんの中には、店に行くのが怖くて、給料を取りに行くこと自体を諦めてしまった人もいたそうです。
でも私は、お金だけは絶対にほしかったので、あえて一番忙しい12時に給料を取りに行きました。
その場でも「もっと暇な時間にこいよ!」と怒鳴られましたが、お金だけさっと受け取って、すぐに店を出ました。
それ以来、あの店とは一切の縁がありません。
個人経営・家族経営の店には応募するな、という教訓
ブラックだと思うのは、パートやアルバイトに対してだけ平気でパワハラをするところです。ホワイトな部分があるとすれば、家族の間だけは驚くほど優しいことでしょうか。
結局、私たちパート側には恩恵なんて何ひとつありませんでした。
向いている人なんて、誰もいないと思います。今の時代、あんなお店は潰れてしまってもいいとすら思ってしまいます。
もしアドバイスできるとしたら、常に「パート募集中」の電光掲示板を出し続けているようなお店には、応募しないほうがいいということです。
それでも、あの店が名店だとテレビで紹介されているのを見かけると、私は今でも思わずチャンネルを変えてしまいます。
関連記事:焼き肉屋のバイトを2年で辞めた|先輩とパートのいじめを店長が見て見ぬふりした話
今の官公庁の事務は天国、あの経験があったから気づけたこと
次に就いた仕事は、官公庁の事務でした。正直、天国のように感じました。
あのうどん屋で得られたスキルといえば、米の研ぎ方くらいのものです。大事な仕事は最後まで任せてもらえませんでしたから。
それでも、仕事を必死にやらないと怒鳴られる環境にいたおかげで、今の事務仕事でも細かいところまで神経を使えるようになったのは、意外な収穫だったと思っています。
必要なスキルは、我慢する力と、聞き流す力です。でも、そんな力をつけてしまう前に、いずれ心を壊すことになるので、あんな職場からは早めに離れたほうがいいと、心の底から思います。
個人経営の小さなお店でパートをしている人へ
個人経営や家族経営の職場でパワハラが起きやすいのは、労務管理という第三者の目が入らないぶん、大将や奥さんの言葉がそのままその店のルールになってしまうからです。契約書の「辞める1か月前ルール」も、押印していなければそのまま従わなければいけないものではありません。今つらい思いをしているなら、まず「自分にも辞める権利がある」ということを知ってほしいと思います。
困った時の選択肢
【飲食業界からの転職を考えている方へ】
飲食業界に特化した転職エージェントで、書類サポートから面接対策まで完全無料で一貫サポートしてくれます。地方求人も含め全国区に求人があり、遠方の場合はオンライン面談も可能です。対象は20〜40代、対応エリアは東京・神奈川・千葉・埼玉・仙台・大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山・愛知・福岡・北海道です。
そのほか、状況に合わせて選べる窓口も挙げておきます。
【今の職場と直接やり取りせず、辞めたい方へ】
弁護士が対応する退職代行サービスです。LINEやメールで相談でき、即日退職も可能。有給消化・残業代請求・退職金請求にも対応し、退職後のトラブルにも無期限でサポートしてくれます。
【今の職場以外にも、さっと選択肢を見ておきたい方へ】
正社員からアルバイト・パートまで幅広く探せる求人サイトです。プロフィール登録だけで企業からオファーが届くスカウト機能もあり、履歴書・職務経歴書もアプリ内で無料作成できます。まずは会員登録だけで気軽に始められます。
公的な窓口としては、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、よりそいホットライン(0120-279-338)が無料で相談に乗ってくれます。
毎日立ちっぱなしで細かい手作業が続く仕事だと、仕事終わりに目や肩の疲れがどっと出てくることがあります。気になった一冊を、まず無料で試す方法もあります。
・読んでみる → Kindle Unlimited(30日間無料体験)
・聴いてみる → Audible(30日間無料体験)
立ち仕事や細かい作業が続いた日の終わりには、蒸気の温かさでじんわり目元をほぐしてくれるスチームアイマスクを使っている人もいます。

