部長が突然こちらを振り向いて、「もう指詰めるしかないわな」と圧をかけてきました。
机に置かれたパソコンの待ち受けは、アウトレイジ。
怒鳴り声がフロア中に響く、50代の男性です。
これは、基板へのハンダ付け作業の派遣社員として、ヤンキーみたいな女性作業員に囲まれた工場で1年半働いた、30代女性の話です。
📌 体験者プロフィール
年代・性別:30代女性
業界・職種:基板へのハンダ付け作業員(工場勤務)
雇用形態:派遣社員
企業規模:中小企業(従業員50〜299人)
在籍期間:1年6ヶ月
退職状況:退職済み
体験形態:実体験ベース
※プライバシー保護のため、個人が特定されない範囲で仮名化・一部詳細を変更しています。
初日に見たヤンキー軍団と、無償勤務30分の謎ルール
初めて工場に出勤した日。入口の喫煙所では、電子タバコをうんこ座りでスパスパ吸う女性作業員が、私の目の前で煙を吐いていました。
作業着は汚れて、髪はカラフル。
ヤンキーみたいな雰囲気の人たちの前を通って事務所に向かわないといけなくて、初日からものすごく怖かったのを覚えています。
勤務開始は9時から。求人票には、そう書かれていました。
でも実際は、8時30分までに出勤しないと怒られます。
8時40分から会社全体でラジオ体操があって、必ず参加しないといけないからです。遅れてきた人はパラパラいて、あとで部長に呼び出されて怒鳴られていました。
8時30分の出社から9時の正規勤務まで、もちろん毎日無償。
「仕事しているわけじゃないので、お仕事をしているのにはカウントされない」
そんな謎の説明を、マネージャーが高圧的な態度で告げてきました。
ラジオ体操も準備運動も「労働ではない」という理屈らしいのですが、納得できないまま1日が始まる毎日でした。
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流れ作業のプレッシャーと、社内公開処刑の写真
1日の作業はチャイムと共に始まって、チャイムが鳴ったら数分間の休憩。完全にチャイム制の現場でした。
流れ作業で、決まった箇所にハンダ付けをしていきます。前の人が別の場所をハンダ付けした基板がどんどん流れてくるので、自分の担当箇所にハンダ付けして、また次の工程の人へ流す。
私が遅いと、後ろの基板がどんどん山積みになっていきます。先の工程の人が暇になってしまうので、かなり急いでやっていました。
私以外はほぼ全員、ヤンキーみたいな女の人。作業が遅いと舌打ちが聞こえてきます。
「どこで止まってんの?またあいつかよ?」
聞こえるように言われたことも、何度もありました。
ただ、早ければいいというものでもありません。
慌ててクオリティが下がった基板は、写真に撮られて画像でプリントされ、社内で公開処刑にされます。
しかも私がやったとバレバレで、「悪質な作業」と完全に悪者扱い。
悪質な作業をしたいんじゃなくて、皆さんの仕事を止めないように頑張った結果なんですけど。心の中で、何度もそうつぶやきました。
アウトレイジ憧れの部長と、ギャル4人との焼肉
部長は、私たち作業員が座って作業する空間の一番前に座っていました。怒鳴り声がフロア中に響く、50代のおじさんです。
なぜかパソコンの待ち受けはアウトレイジ。
失敗して呼び出されると、こんな言葉が飛んできました。
「もう指詰めるしかないわな」
訳のわからない圧の中で、私はただ立ち尽くすしかありませんでした。映画の登場人物に憧れているのか、高圧的な態度で口にされる言葉が、本当に嫌でした。
その部長は、20代の可愛いヤンキー作業員にはとても優しい。一緒にわきゃわきゃ話していました。
ある日、ギャル4人と同じ作業グループになった日のこと。部長がグループの前で、こう言ったんです。
「〇〇さん(私)以外の子は、この後焼肉行こう」
別に誘われたくもないけれど、私が目の前にいるところで、あからさまにのけものにする発言。
50代の管理職がやる行為とは、思えませんでした。
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パワハラ告発が、加害者本人に伝わる会社
ある日、別の部長から差別されている人が、上層部にパワハラの件を訴えたらしいんです。
その日、うちの部長がやけに元気のない様子で出勤してきました。自分にも飛び火するかもと、勘ぐっていたのかもしれません。
そして私が一人になったタイミングで、部長が詰め寄ってきました。
「上層部にパワハラだと密告したのか?」
全く身に覚えがありません。返事に困っていると、さらに続けます。
「あなたくらいしか、こんなあることないことチクらない」
びっくりしました。
私を疑った理由もそうですが、それ以上にびっくりしたのが、パワハラを上層部に告発したら、それがダイレクトに加害者本人へ伝わる会社だということ。
これでは、誰も告発できません。
告発した瞬間に犯人探しが始まって、ターゲットにされる。そう知って、会社全体への信頼が一気に消えました。
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結婚式有給5日拒否、退職まで無視され続けた日々
連日4時間ほどの残業はもちろん、土曜出勤も当然のような職場でした。
本来休みの土曜日。出勤を断ろうとすると「なんで?」と高圧的に詰められるので、結局出るしかありません。
その割に給料は低くて、週6出勤・1日10時間労働でも、手取り20万円には届かなかったと記憶しています。
そんな中、私が結婚することになって、結婚式のために5日間の有給休暇を申請しました。半年前の、早めの申請です。
返事は、拒否でした。
理由は「部長がおすすめした日に結婚式を挙げないから」。
言っている意味が、さっぱりわかりませんでした。
でも上層部に訴えたところで、また加害者である部長に伝わるだけ。なんの解決にもなりません。
諦めて、土日祝をうまく組み合わせて結婚式を挙げることになりました。
自分の結婚式まで、なんで部長に気を遣わなきゃいけないんだろう。とても悔しく思ったことを、いまだに覚えています。
土日祝を使って結婚式を挙げたこと自体も部長は気に入らなかったらしく、その後はずっと、退職まで無視され続けました。
まあ元々無視されている感じだったので、別にいいんですけどね。
速度計ブザーで監視される廊下と、辞めて気づいたこと
工場の廊下には速度計が設置されていて、歩く速度が遅いとブザーが「ブーブー」と鳴る仕組みでした。
嫌なことがあった日でも、トボトボ歩くことが許されない職場。一定の速度を保ったまま、何事もない顔で歩く。
全てを監視されている感覚と、反旗を翻したくても翻せない徹底した体制。今思えば、あの会社は徹底して「逃げ場のない職場」を作り上げていたんだと思います。
気の合う仲間もおらず、柄の悪い同僚に囲まれて、1年6ヶ月。
退職した今、振り返って思うのは、あの環境で1年半も続けた自分を、少し褒めてあげたい気持ちです。
そして、職場環境がここまで人の心を削るものなんだと、辞めてみて初めて実感しました。
同じ派遣社員でも、職場によって環境は本当に大きく変わる。辞めた今だからこそ、強く言えます。
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派遣先の理不尽に、もう限界を感じている人へ
工場の派遣は、本来シンプルな働き方のはずです。それなのにこの職場は、9時始業の求人で8時半出社、ラジオ体操は「労働ではない」と無償、ミスは写真に撮られて公開処刑、告発すれば加害者本人に直接伝わる。
声を上げられないように追い込む作りになっていました。
なお、参加が強制されるラジオ体操は、本来は労働時間に含まれるとする見解が一般的です。
同じ派遣社員でも職場によって環境はまるで違います。我慢し続ける必要はありません。派遣先の問題はまず派遣元の担当者に相談できますし、無償勤務や有給拒否、ハラスメントは公的な窓口にも相談できます。一人で抱え込まないでください。
困った時の選択肢
【パワハラや無視で「もう辞めたい」のに、言い出せない方へ】
無視され続けたり、理不尽な扱いで退職を切り出しづらいとき、本人に代わって退職の手続きを進めてくれる退職代行という選択肢があります(派遣社員でも利用できます)。「ガイア法律事務所」は弁護士による退職代行なので、性別を問わず、会社や派遣先と直接やり取りせずに辞められます。有給の消化や未払い分の交渉まで任せられるのも、弁護士ならではです。まずは無料で、自分のケースを相談できます。
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そのほか、状況に合わせて選べる窓口を挙げておきます。
・理不尽な扱いで心がすり減っていると感じる方は、抱え込む前に、自分の気持ちを整理するセルフケアから
→ 心のAIパートナー【Awarefy】(自己理解・セルフケアアプリ)
派遣先でのハラスメントや有給拒否・無償勤務は、まず派遣元の担当者に相談できます。改善しない場合は、総合労働相談コーナー(厚生労働省)や、お住まいの地域の労働基準監督署にも無料で相談できます。
気になった一冊を、まず無料で試す方法もあります。理不尽な職場との距離の取り方や、辞めたあとの選択肢を扱った本を読むと、少し気持ちが軽くなることがあります。
・読んでみる → Kindle Unlimited(30日間無料体験)
・聴いてみる → Audible(30日間無料体験)
流れ作業で同じ姿勢のまま立ち続けると、足や腰の疲れがじわじわ溜まっていきます。その負担を少しでも逃すために、立ち仕事用の衝撃吸収インソールを使っている人もいます。
